2012 Fiscal Year Annual Research Report
陽イオン伝導性結晶配向セラミックスの材料設計と開発
Project/Area Number |
24360273
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
福田 功一郎 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90189944)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅香 透 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80525973)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 結晶配向 / 反応拡散 / X線回折 |
Research Abstract |
セラミックスは結晶粒子の高配向化によってその機能が著しく向上する場合がある。研究代表者は拡散対を空気中で加熱する簡便な方法(反応拡散法)を用いて、酸化物イオン伝導性多結晶体の結晶配向化に成功した。この新規配向手法を他の一軸配向多結晶体の作製に応用する目的で、Li_2O-Nb2O_5-Ta2O_3-TiO_2系に適用した。Li_2CO_3とNb_2O_5、TiO_2試薬からLiNbO_3粉末試料とLi2Tio3粉末試料を合成し、Li2Tio3/LiNbo3/Li2Tio3から成るサンドイッチ型の拡散対を準備した。これを1273から1373Kの温度範囲で50時間加熱することで、Li_<1+x-y>Nb_<1-x-3>yTi_<x+4>yO_3固溶体(0.11〓x〓0.18,0≦y≦0.09)から成る多結晶体を作製した。アニールした拡散対は拡散方向に垂直または平行にダイアモンドカッターで切り出した。一部は薄片に加工して微細組織を偏光顕微鏡で観察し、他は試料表面を鏡面研磨し、X線回折装置を用いて多結晶体の配向度を調べた。その結果、拡散方向に沿って板状結晶が生成しており、配向多結晶体が生成していることが確認できた。試料はLiを含むことから、結晶中のLi位置、および(0,C)位置の検出について検討をおこなった。 Li(Ta_<0.89>Ti_<0.11>)O_<2.945>と(Li_<0.977>Eu_<0.023>)(Ta_<0.89>Ti_<0.11>)O_<2.968>、Al_3O_<3.5>C_<0.5>組成の粉末試料を準備し、実験室X線粉末回折データを収集した。得られたデータはリートベルト法と最大エントロピー法、全パターンフィッティング法を駆使することで、軽元素の分率座標の特定に成功した。今後の試料評価において、軽元素の席占有率の精密化を含めて、実験室X線回折法が有効であることを示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、「拡散対反応法を汎用化し、一次元配向セラミックスの作製方法を確立すること」である。 先の【研究実績の概要】で述べた通り、当初の目標通りに研究が進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通りに本研究を推進する方針である。研究代表者は、これまでの研究過程でLi_2TiO_3/LiNbO_3/Li_2TiO_3から成るサンドイッチ型の拡散対だけでなく、多種多様な拡散対を用いることで多結晶体を構成する結晶粒子の結晶軸が一方向に高配向した多結晶体を作製している。その過程で反応拡散法が多結晶体の高配向化に極めて有効であり、汎用性に富む技術であることを認識するに至った。反応拡散法とイオン交換法を併用することで、多種多様な陽イオンが一次元トンネル内を高速で伝導する一軸配向多結晶体の作製に発展させたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究における今年度分の研究費で、次年度に使用する分は試薬の購入に充てる予定である。今年度の研究で新規化学組成化合物の着想を得るに至り、さらに効率的な研究費の使用に鑑み、次年度に使用する予定の研究費と合算して使用するのが最適であると判断したため、当該研究費が生じることになった。
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