2012 Fiscal Year Annual Research Report
プラスチックス表面に機能性セラミック薄膜を作製する革新的技術の創成
Project/Area Number |
24360277
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
幸塚 広光 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (80178219)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内山 弘章 関西大学, 化学生命工学部, 助教 (10551319)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | セラミック薄膜 / プラスチックス / コーティング / 表面機能化 / ゾル-ゲル法 / 転写 / フレキシブルデバイス / 成膜 |
Research Abstract |
研究代表者が独自に開発したプラスチックス基材表面上セラミック薄膜作製技術は、剥離層(有機高分子膜またはその熱分解生成物)をもつ耐熱性基板上に、ゾル-ゲル法によってセラミック薄膜を形成し、これを、プラスチックス基材の表面を溶融して接着層とすることによってプラスチックス基材表面に転写するというものである。この技術を、汎用性の高い成膜技術とすることが本研究の目標であるが、平成24年度の研究実施計画では、転写過程における「亀裂発生」「表面平滑性の変化」「プラスチックス基材の熱的損傷」を支配する因子の学術的解明を目的とした。TiO_2薄膜ならびにITO薄膜を対象とし、ポリカーボネート(PC)、アクリル(PMMA)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)をプラスチックス基材とする転写を実施し、以下のことを明らかにした。 (1)極性基をもつプラスチックス基材(PC、PMMA、PET)上には、亀裂発生を伴うことなく、TiO_2薄膜を転写することができる。一方、極性基をもたないプラスチックス基材のうち、PPとPEにおいては、転写時にTiO_2薄膜に亀裂が発生する。 (2)テープ剥離試験により評価されるTiO_2薄膜とプラスチックス基材の密着性は、極性基をもつプラスチックス基材(PC、PMMA、PET)においては高く、極性基をもたないプラスチックス基材(PP、PE、PC)においては極めて低い。ただし、後者においては、基材の表面を酸化処理することにより、密着性は向上する。 (3)転写されたTiO_2薄膜ならびにITO薄膜の表面と、薄膜・基材界面は、nmスケールで平滑である。 (4)転写時にプラスチックス基材を加熱する際の昇温速度が小さいほど、また、到達温度が高いほど、プラスチックス基材に転写される薄膜の面積は大きくなるが、プラスチックス基材の変形量も大きくなる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本技術を汎用化する上で、セラミック薄膜を転写する先のプラスチックス基材の種類をどこまで広げることができるかを知ることが重要であるが、プラスチックス基材の種類が転写性と薄膜の密着性に及ぼす効果をほぼ明らかにすることができた。さらに、転写された薄膜の表面と、薄膜・基材界面がnmスケールで平滑であることを実証することができた。以上の理由により、本研究はおおむね順調に進展しているといえる
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Strategy for Future Research Activity |
。 平成25年度の研究実施計画通りに研究を推進するが、それ以外に、(1)パターニングされたセラミック薄膜をプラスチックス基材上に作製する方法としての本技術の可能性を探るとともに、(2)より高い温度で焼成されたセラミック薄膜をプラスチジクス基材上に作製するための技術の開発も進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
シリコンウェハの購入枚数を予定よりも絞ることができたため、平成24年度科研費に残額が発生した。 平成25年度は、薬品、シリコン基板などの消耗品の購入が必要であり,また、研究成果を積極的に国際会議で発表するために外国出張旅費の支出が必要であるため、平成24年度残額と合わせて科研費を使用する。
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