2013 Fiscal Year Annual Research Report
自己組織化ネットワークポリマーナノコンポジットの高次構造制御と機能発現
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24360280
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
岸 肇 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60347523)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ナノコンポジット / エポキシ / フィラー / ポリマーアロイ |
Research Abstract |
反応誘起型相分離構造を形成するモデルエポキシ/熱可塑性樹脂ブレンドマトリックスに粒子径800nmの金属(銀)フィラーを添加したコンポジットについて、形成される相構造、フィラー分散構造を電子顕微鏡にて観察した。また、コンポジットのフィラー含有率と導電率の関係を検証した。芳香族ジアミン硬化系においては、熱可塑性樹脂ブレンドの結果としてエポキシリッチ相中に選択配置される銀フィラーの連続性が高まり、少量の銀フィラーにて高い導電率を発現するコンポジットとなることがわかった。アニオン重合硬化系においても、コンポジットの相構造形態としてはエポキシリッチ相中に銀フィラーが選択配置されるものの銀フィラー自体の凝集性が乏しく、熱可塑性樹脂ブレンドの無いエポキシ樹脂単体コンポジットに比較して導電率がむしろ低下した。この結果は、片側の相中に銀フィラーが局在化(選択配置)されることが導電性発現の十分条件ではなく、銀フィラーの分散性制御(フィラー連続構造の構築)が重要であることを示している。 コンポジット中でのフィラーの分散性・凝集性を支配する因子として、フィラー表面とマトリックスポリマーの親和性、相互作用が考えられる。そこで、フィラー表面処理を系統的に変化させたところ、これによりフィラー凝集を制御できる傾向が認められ、導電率も変化した。但し、適正条件は素材の組み合わせによって異なるはずであり、今後、フィラー種、表面処理等について広範囲な検証実験が必要である。また、フィラーサイズやポリマー側の相分離サイズを1桁小さくしたナノコンポジットにおいても同じ原理が拡張可能か検証が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ネットワークポリマー/銀フィラーナノコンポジットの相構造と導電性に関し、エポキシ硬化系の違いやフィラー表面処理の違いがもたらす効果について多くの知見を得た。 また、カーボン系ナノフィラーのエポキシポリマーアロイ中の分散状態についても一定の知見を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
エポキシポリマーアロイ樹脂系ナノコンポジットのフィラー分散構造と導電性、熱伝導性等の機能発現について、その支配因子を明確化する。具体的には、フィラーサイズおよび相分離サイズを1桁低下させた場合についてのコンセプト検証を行う。フィラー種についても検討範囲を拡張する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
相見積もりの結果、購入予定装置の購入金額が予想金額より下がったため。 平成26年度予算と合わせて物品購入予算として用いる。
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