2013 Fiscal Year Annual Research Report
3次元ミクロ組織・応力状態解析による応力腐食割れき裂進展条件の検討
Project/Area Number |
24360286
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
友田 陽 茨城大学, 名誉教授 (90007782)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 徹也 茨城大学, 工学部, 教授 (70261740)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 応力腐食割れ / 破壊 / ミクロ組織 / 量子ビーム / 応力測定 / 3次元観察 / 逐次研磨法 / EBSD |
Research Abstract |
原子炉において防止対応策が望まれる2種類の応力腐食割れ(SCC)について、3次元観察法および量子ビーム測定を用いた研究を行った。 (1)SCC に及ぼす外力と水質環境の影響を調べるために、鋭敏化処理したSUS304鋼に3種類の異なる条件下でSCCき裂を部分的に進展させた試験片を作製した。SCCき裂の進展挙動は応力拡大係数と腐食雰囲気により大きく変化した。き裂進展経路のミクロ組織選択をシリアルセクショング法による3次元観察により明らかにし、き裂先端の残留応力および塑性変形域をSEM/EBSDによって測定した。放射線下の影響を過酸化水素添加によって模擬することを試みた。 (2)Ni合金・低合金鋼溶接部材で、Ni合金部から発生したSCCき裂の異材界面近傍の進展挙動を調べた。ミクロ組織とき裂進展経路の3次元評価、き裂先端の塑性変形域および弾性ひずみ分布をEBSD/Wilkinson法、細束X線回折法および中性子回折によるスケールブリッジング測定によって評価した。溶接時に、インコネルは低合金鋼のオーステナイト粒からエピタキシャル成長するが、<100>からはずれた結晶粒は成長が遅く周囲の結晶粒に覆われるため界面に平行な粒界ができる。インコネルに発生したSCCき裂は大角粒界を選択して進展するが、この平行な粒界に達するとその進展が抑制される。低合金鋼まで達すると鋼側に酸化物が生成する。き裂の進展経路を3次元的に示し、先端の応力・ひずみ分布をSEM/EBSD、X線、中性子回折で調べて、SCCき裂進展が界面で停滞する理由を考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新たに導入した自動シリアルセクションニング3次元観察システムが順調に使えるようになり、おおむね計画どうりに研究が進んだ。すなわち、SCCき裂とミクロ組織の関係について3次元イメージを構築することができた。また、き裂先端近傍の弾性ひずみ分布を中性子、X線、電子線回折によって巨視的および微視的に測定し応力分布全体を考察した。
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Strategy for Future Research Activity |
投稿論文作成に必要な追加実験とデータ解析を進め、考察を深めて学術誌への投稿を進める。これまでに得られた研究成果の一部(異材界面近傍のSCC挙動)をまとめてMetall.Mater.Trans.誌に投稿したところ、「掲載に値する内容であるが修正が必要」という査読結果となり、現在、修正中である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度に参加を予定していた国際会議の旅費を別の財源で賄うことができたため、当該分の予算を使わなかった。 平成26年度の消耗品の購入に充てる。
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Research Products
(1 results)