2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24360297
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Research Institution | Toyota Central R&D Lab., Inc. |
Principal Investigator |
倉本 繁 株式会社豊田中央研究所, 材料・プロセス1部 軽金属材料・プロセス研究室, 主任研究員 (10292773)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 金属材料 / アルミニウム合金 / 理想強度 / 冷間加工 / 結晶粒微細化 / 結晶粒界 |
Research Abstract |
ステンレス鋼やアルミニウム合金の結晶構造である、面心立方(fcc)構造を有する金属材料の理想強度までの高強度化に必要な因子を基礎的に探索することを目的として、昨年度に引き続き、Al-Zn-Mg系合金を用いた検討を実施した。本系については、転位運動を著しく高強度レベルまで抑制するナノ組織がHigh Pressure Torsion (HPT)加工中に生成することが報告されており、昨年度は、Zn, Mg, Cu, Cr, Feの添加量を変化させたAl-Zn-Mg 系合金および本系を基本組成とする市販7075合金のHPT加工材を試料として用いて強度評価を実施した。その結果、CrおよびFeを含む合金は比較的優れた強度特性のバランスを示し、例えばAl-10%Zn-2%Mg-2%Cu-0.25%Cr-1Fe合金は、HPT加工後に920MPaの引張強さと、5.5%の伸びを示した。本年度は本系合金の強化機構を解明する目的で、7075合金HPT加工材の組織解析を、電子顕微鏡や3次元アトムプローブ(3DAP)を用いて実施した。その結果、わずか10分間のHPT加工により、結晶粒径は100~200nmまで微細化すること、また加工前には母相中に均一に固溶していた主溶質元素(Zn、Mg、Cu)が、HPT加工後には結晶粒界上に濃化することが判明した。結晶粒の微細化は、加工に伴う転位密度の上昇、動的回復・再結晶の過程を経た結果と考えられる。溶質元素の粒界濃化は、通常の拡散現象とは異なり、HPT加工中の巨大なせん断ひずみ導入に伴う原子の移動に起因するものと推察される。このような既存のプロセスとは異なる組織変化が、HPT加工による顕著な高強度化の主因と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、研究開始時に公となっていた文献情報から、高強度化に寄与する組織因子のうち、ナノクラスタに焦点をあてた計画としていたが、研究の進捗に伴い、これ以外の結晶粒径微細化や、結晶粒界への主溶質元素の濃化が、高強度化により大きく寄与する因子であることが判明した。2年間の研究により、強化に寄与する組織因子に関する新たな知見と、添加元素が強度特性に及ぼす影響に関するオリジナルの実験データが蓄積されている。今後さらに解析を進めることにより、理想強度レベルまで高強度化するために必要な合金組成・加工プロセス条件の指針を得ることができるものと見込んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
高強度化に寄与する主溶質元素の粒界等への局所濃化挙動の解析を実施する。具体的には、アトムプローブ解析や小角散乱解析を行うが、双方とも研究代表者の所属機関では実施不可能なため、外部委託等により進める予定である。
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