2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24360302
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
光田 好孝 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (20212235)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 酸化スズ / 透明導電膜 / 光透過性 / 電気伝導性 |
Research Abstract |
本研究では(1)酸窒化スズにおける窒化率の上限、N/O比率によるルチル構造の安定域を示すとともに、(2)PLD法におけるレーザー誘起プラズマの生成と、雰囲気中N/Oイオン濃度制御の実証を行うことを目的とした。研究計画に示した通り、10^<-2>Paの圧力域において、レーザープルームに誘起されるプラズマを形成し、雰囲気におけるN,Oイオン密度の変化を測定し、薄膜の組成や結晶性との関連を明らかにすることを目指し、実験的研究を行った。高周波印加によるレーザー誘起プラズマの生成実験では、直径約40mmの金属製コイルの導入により、3×10^<-2>Pa以上の圧力域においてもプラズマの生成が確認された。このプラズマ生成においては、高周波電力の増大に伴い、プラズマの発光強度が増大することが確認された。このように生成された新規の薄膜堆積条件においては、低基板温度においても、価数が最安定となったSnO2が直接成長することが確認された。このことは、堆積薄膜のXRD測定およびXPS測定において、結晶層および組成の両面から実証された。他方、本年度購入したEMCCD検出器により、プラズマの発光現象を観察することで、窒素および酸素の原子状の励起種を直接検出することに成功した。これは、当初狙った非平衡度の強い反応場が生成されたことを示すものであり、SnO2の低温における堆積を裏付ける結果である。窒素の励起種の存在から、膜中への窒素の取り込みを促すことが推測された。組成分析の結果からは、SnO2のルチル構造を保ったまま1%程度の窒素が結晶格子中に導入されることが明らかとなった。この時、薄膜は可視域の光透過性を保っており、透明導電膜としての物性制御の基礎データを得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では、パルスレーザー堆積装置の改良により、低圧プラズマ放電環境を生成することに成功した。この時の放電に必要な電力は10-30W程度であることが明らかとなった。また、プラズマ発光分光計測が可能となり、Nの励起種が直接計測された。以上のように、本研究は当初の研究計画に沿って概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度に予定通り提案プラズマ放電環境の生成に成功したことを受けて、当初の2年次の計画通り、透明半導体薄膜としての電子・光物性評価を行う。キャリア生成と光透過度に与えるパラメーターは多岐にわたるため、高結晶性膜を得た後に、Sn/N/O比率に焦点を当てた電子物性評価を行う。まず、材料特性としてSn/N/O比率の制御性すと共に、結晶性を評価する。ここでルチル構造が保たれる上限のN/O比率を得る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度には装置の改良および時間分解プラズマ発光分光計測装置の構築に時間を要したため、透明半導体薄膜の形成にかける時間が十分とることができなかった。改良および構築したシステムの実証を行うとともに、透明半導体薄膜の堆積を精力的に進めると同時に、生成環境のプラズマ発光解析を実施し、これらの成果を対外的に発表を行う。
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