2013 Fiscal Year Annual Research Report
HPT加工で組織制御することによるオーステナイト系ステンレス鋼の高強度-高延性化
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24360306
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
梅本 実 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90111921)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸高 義一 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50345956)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 金属 / 巨大ひずみ / 強度 / 延性 / 歪勾配 |
Research Abstract |
1)2相材の時効挙動の解明 HPT 加工によって作製したオーステナイト相とマルテンサイト相が共存する試料について時効処理を行い、時効に伴う相の割合をXRD とVSM により測定し、各相の硬さの時効に伴う変化を微小硬度計で測定した。また時効硬化が顕著な温度での時効に伴う組織変化をSTEM-EDS、高分解能TEM を使って観察し、これらをγ単相材、マルテンサイト単相材の場合と比較し、相違点を明らかにした。 2)高強度―高延性両立のための加工と熱処理条件の解明 HPT 加工によって作製したオーステナイト相とマルテンサイト相が共存する試料について時効処理を行い、引張試験を行った。引張試験後の試料について、加工に伴うマルテンサイト相の割合の変化をXRD とVSM により測定し、加工誘起変態の進行状況を定量評価を行い、さらに、目標とする引張強度2GPa、伸び30%を達成する試料のγ相の割合、時効条件を明らかにした。 3)熱力学計算に基づいた変態、逆変態挙動の解析 現有の熱力学ソフト(Thermo-Calc)を使って変態開始温度(Ms 点)および逆変態開始温度(As 点)、化学的駆動力に対する化学組成の影響、静水圧の影響を計算した。次に変態・逆変態に対する外力の影響を数値化し、歪誘起変態開始温度(Md 点)と歪誘起逆変態開始温度(Ad 点)を外部剪断応力の関数として計算した。これらにより、歪誘起変態および歪誘起逆変態を利用する最適化学組成、加工温度が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究計画である、2相材の時効挙動の解明、高強度―高延性両立のための加工と熱処理条件の解明、熱力学計算に基づいた変態、逆変態挙動の解析については概ね順調に研究が進められたが、高強度-高延性オーステナイト系ステンレス鋼の開発の指針の提示を行うまでには至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2相材の時効挙動の解明、高強度―高延性両立のための加工と熱処理条件の解明、逆変態挙動の解析の研究結果を基に市販のステンレス鋼での、歪誘起変態と歪誘起逆変態を利用した結晶粒微細化、時効硬化、変態超塑性を活用して高強度-高延性(引張強度2GPa 以上、伸び30%以上)を達成する条件を提示し、最後に熱力学計算を基に、高強度-高延性オーステナイト系ステンレス鋼開発の最適合金組成設計法の提案が可能となった。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定していた研究用物品の購入手配が年度内に間に合わず、翌年度の納入となってしまったため。 予定していた研究用物品の購入、研究のための情報収集・成果発表に伴う学会参加旅費、および研究補助員の賃金として使用する。
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