2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24360313
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
秋山 友宏 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50175808)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沖中 憲之 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20250483)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | サイアロン / ナノ材料創製 / 構造用セラミックス / 省エネプロセス / 製造プロセス |
Research Abstract |
サイアロンの燃焼合成は低純度 Si、Al、SiO2の混合粉を、10 気圧の窒素雰囲気下で着火すると自己伝播することから、高純度 Si を必要としない安価で省エネ型合成法として魅力的である。しかし生成物であるサイアロン(Si6-zAl zOzN8-z)を粉砕するのに多くのエネルギーを要するため未だ実用化には至っていない。一方、SCS (Salt-Assisted Combustion Synthesis)法は反応に関与しない食塩を混合するだけで昇華時(NaClの沸点 1738K、気化熱 257.73kJ)のガス圧によりナノ粒子が得られる最近流行の新型燃焼合成法である。そこで本研究では SCS 法をサイアロン合成にはじめて適用し、その効果を実験的に調査することを目的とする。サイアロンは極めて硬い物質であることから、この方法により粉砕のエネルギーが削減でき工業化が一気に加速することが期待できる。 平成25年度は主に塩添加量の最適条件を検討した。一般に添加量の増大に応じて断熱火炎温度は低下し燃焼波の伝播速度は低下し、最後は燃焼合成(自己燃焼波伝播現象)は成立しなくなる。そこで塩の相変化時の吸熱量を明らかにした上で、得られた粒子の相同定およびその形状を調査した。実験では単相β-Si5AlON7を生成するために最適のKCl、MgCl2、およびCaCl2の添加量はそれぞれ18, 18, および22 mass%であった。この時、上記の塩の添加量におけるエンタルピー変化の計算値はどれもほぼ同一であった。一方で、SEM観察の結果は、塩の種類によって生成したβ-Si5AlON7の形が異なっていることを明らかにした。これは塩の化学組成の違いが結晶成長に影響したためと推測される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
担当学生が優秀であり、信頼性のある実験データを出し、その成果の取りまとめがはやい。そのため既に世界的に著名な学会誌に3本の論文を投稿し、早くも印刷された点は予想外の成果といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
単に食塩添加量といった操作条件の最適化ではなく、実験においては、超高温用W-Re熱電対を用い燃焼波の伝播速度を測定し、基礎的に反応機構の解明につとめる。実験結果に基づき、反応機構を考察し、燃焼合成の数学的モデルの開発に役立てる。更に、新規データを報告し議論する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
装置の購入を予定していたが、現有設備の改造の方が安価かつ本研究に適していると判断し、現有設備の改造を実施した結果、当初予算との差額が発生した。 H26年度は国際会議に出席し、SCS 法による SiAlONナノ粒子の省エネ製造に関する研究成果発表を行う。 又実験に使用する消耗品を購入予定。
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