2012 Fiscal Year Annual Research Report
ゼオライト触媒のナノ結晶を構造性活性点とした精密形状選択反応プロセスの開発
Project/Area Number |
24360325
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
増田 隆夫 北海道大学, 大学院・工学研究院, 教授 (20165715)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多湖 輝興 北海道大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (20304743)
中坂 佑太 北海道大学, 大学院・工学研究院, 助教 (30629548)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | ゼオライト / ナノ結晶 / 芳香族アルキル化 / 触媒膜 / ナフタレン / ジメチルナフタレン / エマルション |
Research Abstract |
本研究の目的は,各種ゼオライト触媒のナノ結晶の合成と,それを用いて機能性樹脂の原料を生産する精密形状選択的反応プロセスを開発することである.平成24年度は次の成果を得た. (1)芳香環の最小分子径とほぼ同じミクロ径を有する一連のゼオライトのナノ結晶合成法の確立:MFI,MOR,MTW,TON型ゼオライトについて申請者らが開発したエマルション法を適用し,単分散のナノ結晶を合成することに成功した.特に,従来は柱状のマクロサイズの結晶のみが得られていたMOR,MTWを初めて50~100nmの粒状結晶で合成することに成功した.(2)活性点である酸点分布の制御:MFI型ゼオライトについて酸点分布の制御を行った.申請者らが開発したシラン接触分解法にフェニルシランを用いると細孔内と結晶外表面の酸点が,ジフェニルシランでは結晶外表面の酸点を選択的に不活性化することに成功した. (3)反応場内の物質移動(拡散)機構の解析:MFIを中心に単環芳香族と二環芳香族のシクロヘキサン溶液中での単成分系と二成分系の拡散係数および分配係数を測定した.単成分系の拡散係数は分子サイズと分子量の影響を受けることが分かった.二成分系では拡散の早い分子は遅い分子の存在により拡散が遅くなる.拡散が遅い分子は早い分子の影響をほとんど受けないことを見いだした.これは触媒設計に重要な知見を与える. 気相系では,有効拡散係数が温度と分圧で決まる吸着ポテンシャルにより一義的に表現できることを見いだした. (4)ナフタレンのメチル化に与える酸点と結晶サイズの影響:種々のゼオライトについてナフタレンのメチル化とメチルナフタレンのメチル化反応を行ったところ,結晶の外表面酸点をジフェニルシランで不活性化したMFIのナノ結晶触媒は安定に目的生成物のβ,βジメチルナフタレンを選択的に生成することが分かった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標である(1)芳香環の最小分子径とほぼ同じミクロ径を有する一連のゼオライトのナノ結晶合成法の確立,では4種類のゼオライトのナノ結晶合成に成功した.(2)活性点である酸点分布の制御,ではゼオライト結晶の外表面酸点の選択不活性化に成功した.(3)反応場内の物質移動(拡散)機構の解析,では芳香族について液相の二成分系拡散係数を測定し,気相では任意の温度と分圧における有効拡散係数の推定法を開発した.さらに,(4)ナフタレンのメチル化に与える酸点と結晶サイズの影響,では結晶外表面酸点を不活性化したMFIナノ結晶触媒がβ,βジメチルナフタレンを安定に生成した.この様に平成24年度の当初の目標を達成している.
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は次に事項について研究を推進する.1)未着手のゼオライトのナノ結晶合成,2)ナノ結晶ゼオライトによる芳香族のアルキル化反応の速度解析,3)液相系のナフタレン類の拡散係数の測定,4)β,βジメチルナフタレン合成用ゼオライト触媒の最適な触媒特性の決定
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の学術研究助成基金助成傘として17,532円を繰り越している.これは試薬の購入に活用する予定である.
|
Research Products
(16 results)