2013 Fiscal Year Annual Research Report
ゼオライト触媒のナノ結晶を構造性活性点とした精密形状選択反応プロセスの開発
Project/Area Number |
24360325
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
増田 隆夫 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20165715)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多湖 輝興 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20304743)
中坂 佑太 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30629548)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 化学工学 / 触媒・化学プロセス / ナノゼオライト / 触媒設計 |
Research Abstract |
本研究の目的は,各種ゼオライト触媒のナノ結晶の合成と,それを用いて機能性樹脂の原料を生産する精密形状選択的反応プロセスを開発することである.平成25年度は次の成果を得た. (1)未着手のゼオライトの ナノ結晶合成: 研究実施者らが開発したエマルション法を適用し,平成24年度で未着手であったFAU型ゼオライトについて単分散のナノ結晶を合成することに成功した. (2)ナノ結晶ゼオライトによる芳香族のアルキル化反応の速度解析:メタノールを用いたナフタレンのアルキル化は,ナフタレンからメチルナフタレン(MN)が生成し,ついでジメチルナフタレン(DMN)が生成する逐次反応であることを確認した.また,ナノ結晶として合成したゼオライトを用いた反応実験によりMTWゼオライトが最も活性が安定し,高いβ,β-DMNの選択性を与えた.さらに,DMNは異性体の混合物であるが,その中でβ,β-DMNの選択性を向上させる触媒特性を調べるため2-MNのアルキル化反応を気相で実施した.その結果,ゼオライト結晶のナノ化が有効であり,ゼオライトの酸性を抑制することが必要であった.そこで,リン酸を担持して酸性を抑制したところ,活性・選択性の両面で向上することに成功した. (3)液相系のナフタレン類の拡散係数の測定:単環芳香族について液相の拡散係数を測定した.ナフタレンの拡散を測定に取り掛かる時に,吸着にともなう液相の濃度の経時変化測定用のレーザーラマン分光器が故障した.そのためナフタレンに関するデータの蓄積ができなかった.現在,修理中であり,修理後に測定を開始する. (4)β,βジメチルナフタレン合成用ゼオライト触媒の最適な触媒特性の決定: 反応にはMTW型ゼオライトのナノ結晶を触媒として用いることが適していた.さらにゼオライトの酸性の抑制は必要であった.更に,活性低下を抑制するために液相の反応が好ましい知見を得た.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度目標である(1)未着手のゼオライトの ナノ結晶合成,ではFAUゼオライトのナノ結晶合成に成功した.(2)ナノ結晶ゼオライトによる芳香族のアルキル化反応の速度解析,ではナフタレンからのジメチルナフタレン(DMN)生成は逐次反応であることを確認した.ついで,β,β-DMN生成反応の選択性に与えるゼオライト結晶サイズの影響を明らかにした.(3)液相系のナフタレン類の拡散係数の測定,では10月に濃度測定用分析装置(レーザーラマン分光器)が故障したため,修理中である.そのため,本事項について研究が遅延している.(4)β,βジメチルナフタレン合成用ゼオライト触媒の最適な触媒特性の決定,ではゼオライト結晶サイズ,酸強度の影響と,反応相として液相が好ましいことを見いだした.
|
Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は次の事項について研究を進める.1) MTWゼオライト触媒膜の合成,2)β,β-ジメチルナフタレン合成に与えるMTWゼオライト触媒特性の最適化,3)レーザーラマン分光器を至急修理して液相の拡散係数の測定の開始,4)MTWゼオライト触媒を用いた気相・高圧液相系でのβ、βジメチルナフタレンの実証
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
液相拡散係数測定のために用いる既設のレーザーラマン分光器の故障により当該研究が途中になっている.このテーマに関して使用するゼオライトの合成用試薬および装置消耗品費を使用していないため基金の繰越が生じた. 平成25年度の成果により高圧の液相系で反応を実施することで触媒劣化を抑制できることが他の研究成果により判明した.そこで,流通系の高圧液相触媒反応を実施する装置を試作する。既有の部品を活用することで繰り越す基金の範囲内で装置を試作することができるため,その経費として活用する予定である.また,液相拡散係数の測定は継続する.
|
Research Products
(12 results)