2013 Fiscal Year Annual Research Report
共晶系複相合金の微細組織制御と新奇バルク触媒材料への展開
Project/Area Number |
24360329
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
亀岡 聡 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (60312823)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蔡 安邦 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (90225681)
野澤 和生 中央大学, 理工学部, 助教 (00448763)
湯葢 邦夫 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (00302208)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 共晶系複相合金 / 微細組織制御 / 新奇バルク触媒 / リーチング / ポーラス合金 / コンポジット触媒 / 触媒調製 |
Research Abstract |
バルク合金には金属学が直接適用でき合金の組成や構造を含めた合金制御パラメーターが明確であることから、容易かつ再現良く良質・均質なバルク合金が作製できる。しかし、合金ナノ粒子や担持型合金触媒に比べ、バルク合金に関する触媒材料研究は未開拓であった。そこで、本研究では、従来の触媒調製であまり意識されて来なかった金属学(金属物理・金属化学)的な視点・手法を取り入れ複相バルク合金(2種類以上の異なる金属・合金相から構成される合金)のうち共晶系複相合金を中心に微細組織制御(高機能化)と選択的溶出処理(リーチング処理:ポーラス・高表面積化)を組合せた新奇なバルク型(非担持型)触媒の調製法について検討した。 Al-Au-Fe系ならびにAl-Pt-Fe系において共晶系複相合金を見出し、組織制御パラメーターの検討とそれらの組織解析を行った。また、これら共晶系複相合金触媒に対して、メタノール水蒸気改質反応ならびにCO選択酸化反応を行った。その結果、ラメラ状の複相組織を持つ触媒が反応選択率において特長ある挙動を示すことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新たな共晶系Al基複相合金(Al-Pt-Fe系)を見出し、その組織制御パラメーターについて検討を行った。また、これらの触媒特性を検討した結果、ラメラ状組織を有した触媒がメタノール水蒸気改質反応ならびにCO選択酸化反応において高い活性と選択性を示すことが明らかとなった。また、EBSD解析の導入により、複相組織の相間の方位に関する情報が新たに得られたことから、複相組織の形成メカニズムに関する情報が得られつつある。これらのことを鑑み、研究の達成度としては、概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに見出された共晶系複相合金を用いて各種触媒反応を行うとともに、これらの触媒性能向上を目指し調製法の改良を試みる。熱的安定性の向上と高機能化を指向するために、合金中のAlを選択的溶出させポーラス化・高表面積化させるリーチング処理と複相合金組織制御(複相“活性相+熱安定相”による耐熱性向上と”活性相+活性相”による高機能化)を組合せる。 調製した複相合金とその触媒試料についてXRD, TG-DTA, DSC, BET, TPR, XPS, CVなどを広く用い表面・バルクの構造、組成、物性解析を行う。また、電子顕微鏡法(HRTEM, FESEM, HAADF-STEM etc.)を用いた微細組織観察を行い触媒中の合金相の状態、構造、方位関係などから金属・合金相間の相互作用ならびに機能発現との因果関係を解明する。さらに、複相合金の電子状態と触媒機能の相関性を調べるために、良い合金系触媒を用いて、価電子帯構造と触媒特性の観点からも解析検討を行う。金属間化合物の組成を調整することにより価電子帯を制御し、分子の吸着・離脱特性と価電子帯との関連を調べる。これらの点を鑑み、金属間化合物を中心に価電子帯構造と触媒機能の関係を系統的に調査する。また、ここで得られた知見を触媒調製へフィードバックする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
効率的に執行したことにより未使用額が生じた 次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成26年度請求額とあわせ、平成26年度の研究遂行に使用する予定である。
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