2013 Fiscal Year Annual Research Report
Ni,Coのホウ化物あるいは炭化物をベースにしたPt代替燃料電池電極触媒の開発
Project/Area Number |
24360330
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
村松 淳司 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (40210059)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蟹江 澄志 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (60302767)
中谷 昌史 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (80451681)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 資源・エネルギー有効利用技術 / 燃料電池 |
Research Abstract |
平成25年度は、まず前年度に確立したNiB、NiC、CoB、CoCナノ粒子調製法の再現性について確認した。得られた粒子を電気化学特性評価によりその酸素還元反応の活性について詳細に評価した。今年度はより実用に適した材料としての評価を行うため、電極回転方法(利用する電極を回転させ測定することで、常に表面を露出させる)を利用した。上述の中で、NiCナノ粒子がもっとも活性が高く、0.51Vの起電力を示すことを確認した。このとき、調製直後のNiCナノ粒子は起電力がそれほど高くないのに対し、焼成処理を行うことで、活性が向上することを確認した。これは、Ni/C比が変化することで、より活性な状態となったためと考えられた。確認のため、ESCAによりその電子状態を確認したところ、焼成前の状態に比べ、エネルギーが高くなっていることを確認した。これは、Cの量が減ったためと考えられる。続いて、これまで用いてきたカーボン担体種を変更させ、上述の活性に与える影響の有無を評価した。これは、粒子表面での反応で生じた起電力が、担体種の影響で導電性が低下することで低下している懸念を払拭することが目的である。以前から使用している担体種を含めて、3種類の担体を用い、NiCナノ粒子を担持させて電気化学特性評価を行ったところ、担体種による活性への顕著な影響は確認されなかった。これらのことから、起電力向上にはナノ粒子を構成する金属比や表面状態を制御することが必要であると確認された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ナノ粒子の活性向上について、やや遅れている。起電力について、実用化に必要とされる値は0.6Vとされる。これに対し、現在、我々の達成した値は0.51Vと、約0.1V低い。この理由として、構成元素比の最適化がなされていないこと、またその制御が極めて困難なことが上げられ、単セル構成にはまだ時間を要する状態である。加えて、粒子自体の安定性(再生利用)についての検討が不十分であり、実際の利用に耐えうる材料となるかどうかの評価が出来ていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
前年度までに調製したNiC,NiB,CoC,CoBナノ粒子の組成並びに結晶性の制御を行い、実用化の目標値である0.6Vよりも高い活性を有する酸素還元電極触媒となる粒子の調製方法を確立することを第1目標とする。また、担体種の選定について、合わせて行う。続いて、得られたナノ粒子を利用し単セルを構築し、実際の燃料電池としての性能評価することで、耐久性を始めとした粒子の性能評価を行う。また、これらを行った後、メタノール改質器と繋げ、実際の燃料電池(PEFC)一体型システムを構築し、家庭で利用を想定した燃料電池システム構築を目指す。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
電極触媒粒子の活性向上への開発が、当初の予定よりも遅れており、基礎的実験に重きを置いた研究期間となった。そのため情報収集が主なものとなり、より発展的な実用化に向けた応用研究があまり出来なかった。そのため、単セル構築のために必要となる部材等の購入を控えたため、予算を次年度へ繰り越すこととなった。 燃料電池電極触媒の性能を確認するためには、単セルを構築しての実発電能力テストを行う必要がある。そのため、繰り越した予算は単セル構築用の部材購入並びにその単セルの電極として実装する電極触媒粒子・担体の購入費に充てる予定である。また、そのテストについて、外部委託する必要性が考えられるため、その測定費用として充てる予定である。
|