2013 Fiscal Year Annual Research Report
グリーン有機合成プロセスのユビキタス化を指向した環境対応型固体触媒の創製
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24360333
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
和田 健司 香川大学, 医学部, 教授 (10243049)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | グリーンケミストリー / 固体触媒 / ルテニウム / イリジウム / ロジウム / 鉄 / 酸化セリウム / シリル化 |
Research Abstract |
有機合成プロセスの飛躍的な環境負担低減や希少資源の有効利用、省エネルギーの達成等が期待できる固体触媒の開発が望まれている。本研究では、複眼的視点からのグリーン有機合成プロセスのユビキタス化を指向して、触媒活性種の自在変換法を確立し、飛躍的に広範な反応に適用できる環境対応型触媒を開発するとともに、触媒構成元素のユビキタス元素への代替を検討している。本年度の検討の結果、以下の成果を得た。 1.触媒活性種の構造解析とその変換制御法の確立 前年度までの検討によって開発したメタセシス型生成物を与えるビニルシラン類のホモおよびクロスカップリングに有効なセリア担持ルテニウム触媒およびロジウム触媒について、金属種の溶出・再吸着挙動に及ぼす前処理および反応条件の最適化を行った。また、これらの成果からの着想に基き、イリジウム錯体に特定の金属酸化物を添加するだけで、アルケンの脱水素シリル化反応に対して飛躍的に高い活性および選択性を有し、かつ回収再利用が容易で生成物の金属種による汚染を抑制する固体触媒が調整できることを見出し、特許出願した。 2.多様な有機合成反応への適用 アルケンの脱水素シリル化反応に有効で、併発する副反応であるヒドロシリル化反応を効率的に抑制でき、かつ回収再利用が容易で生成物の金属種による汚染を抑制できるセリアあるいはジルコニア担持イリジウム触媒等を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した平成25年度の実施計画をほぼ達成したにとどまらず、特定の金属酸化物を金属錯体に単に添加するだけという簡便な手法によって、脱水素シリル化反応等に対して飛躍的に高い活性・選択性を有する固体触媒を開発し特許出願に至った。このように、当初の予想を超える成果を得ており、当初の計画以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
金属酸化物と金属錯体の特異な相互作用を活かした新規触媒開発に焦点を絞り、より広範な有機合成反応に有効な触媒系の開発を進める。また、従来法担持触媒についても、前年度までに引き続き、適用可能な有機合成反応の拡大と触媒構成元素のユビキタス化を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初想定より実験遂行のために必要な消耗品費および機器修理費等が増大する一方、謝金支出を見直した結果、経費が当初支出予定よりもやや下回った。 次年度請求額と併せて主に有機合成実験に必要な消耗品購入経費に充当する
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Research Products
(8 results)