2013 Fiscal Year Annual Research Report
大型宇宙システム用排熱器「液滴ラジエータ」の排熱特性の解明
Project/Area Number |
24360346
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
戸谷 剛 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00301937)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ラジエータ / 液滴 / 放射率 / モンテカルロ法 / ふく射 |
Research Abstract |
本年度の研究実施計画に上げていた「単一液滴流の排熱量測定」と「液滴の放射率、反射率、透過率の解析(逆解析)」を行った。液滴直径と液滴間隔を変えた3パターン(液滴直径:0.118, 0.106, 0.0903 mm,液滴間隔:0.630, 0.435, 0.212 mm)について、「単一液滴流の排熱量測定」実験を行い、排熱量は 0.60~0.75 W/m2である事が分かった。この排熱量と等しくなる液滴の放射率(吸収率)は「液滴の放射率、反射率、透過率の解析(逆解析)」より、0.70 である事を明らかにした。放射率を 0.70 とした時の測定値と解析値の差は,最大 6.6 %で良い一致を示した。 本研究は、宇宙太陽発電システム,月基地など1 MW以上の電力や熱を取り扱う大型宇宙システムで課題となっている大量の廃熱を処理できる排熱システム「液滴ラジエータ」の実現を目指している。「液滴ラジエータ」の排熱特性を明らかにし,取得した放熱特性を基に宇宙空間での実証試験用の液滴ラジエータを設計・製造し,長時間の実証試験を行った後,最終的に大型宇宙システム用の排熱システムとして実用化することが研究の全体構想である.上記の成果は、「液滴ラジエータ」の排熱特性を単一液滴流に対し、明らかにしたものであり、宇宙空間での実証試験用の液滴ラジエータを設計に道を開くものであり、意義は大きい。また、測定しにくい液体の、しかも液滴の放射率を明らかにする手法を構築したという観点からも意義深い。これらの成果を当初の計画通り関連学会にて発表した。 一方、当初の計画していた「平行液滴流の排熱量測定実験」と「モンテカルロ法を用いた数値解析(順解析)」については行う事が出来なかった。次年度に行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度実施する計画にしていた「平行液滴流の排熱量測定実験」と「モンテカルロ法を用いた数値解析(順解析)」については実施する事が出来なかったので、上記の達成度といたしました。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度、実施することが出来なかった「平行液滴流の排熱量測定実験」と「モンテカルロ法を用いた数値解析(順解析)」は、来年度実施予定の内容とともに実施することにする。具体的には、本年度完成した「単一液滴流の排熱量測定」実験装置の液滴生成器と液滴生成ノズルを変更する事で、本年度実施予定であった平行液滴流と来年度実施予定の収束液滴流を作成できるので、来年度のみで実施可能であると考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度、実施予定であった「平行液滴流の排熱量測定実験」と「モンテカルロ法を用いた数値解析(順解析)」について、今年度実施する事が出来ず、これら研究項目に必要と見積もっていた予算が未使用であるため。 今年度購入を予定していた液滴生成器と平行液滴流用ノズル、および来年度購入予定の収束液滴流用ノズルを購入する。今年度、実施予定で実施できなかった「平行液滴流から の排熱量解析(順解析)」と「収束液滴流の排熱量解析(順解析)」を北海道大学情報基盤センター内の並列計算機を使用して実施する。得られた成果を国内、海外で発表するとともに、査読付きの雑誌論文に投稿する。また、研究成果を広く知っていただくために、Webページを作成する。
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