2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24360347
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩崎 晃 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (40356530)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | データ融合 / ハイパースペクトル / マルチスペクトル / リモートセンシング |
Research Abstract |
ハイパースペクトルセンサは将来の地球惑星遠隔探査において、多くの知見をもたらすものとして期待されているが、センサに入射する光量が少ないため、空間分解能を高くすることに困難を伴う。本研究では、波長分解能の高いスペクトル画像と空間分解能の高いカラー画像を融合することで、両者の長所を兼ね合わせた融合データを作成する手法を研究している。 平成24年度に開発した装置を航空機に搭載し、多摩森林科学園および東大駒場キャンパスの撮像を行った。撮像に適した天候がなかなか得られず、センサの輝度の調整にも難航したが、最終的に研究に適した撮像結果が得られた。ハイパースペクトルセンサおよびマルチスペクトルセンサ両者の装置関数のシステム同定を行い、スペクトル精度や空間分解能の点で融合データの品質を向上させるアルゴリズムを開発した。作業中にハイパースペクトルセンサの光学軸あわせのずれが検出されたため、キーストーン補正処理を行った。 ソフトウェア面では、物質・含有率分離を行う非負値行列因子分解と観測データから装置関数を導く最適化について、完全な統合を行った。スペクトル応答関数が正値であること、ならびに空間応答関数の拘束条件を用いて、2つの観測データの推定値誤差を最小とする解を得ることで、装置関数の推定値を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
航空機実験については、さまざまな試行錯誤を重ね、ハイパースペクトルセンサとマルチスペクトルセンサのデータを重ねあわせる処理を完成した。前者がラインセンサ、後者が画像センサであるために、標高による倒れ込みの補正が重要である。また、それぞれのデータの撮像タイミングの記録装置もきちんと作動した。一方、航空機の飛行日が直前まで決まらないため、地上での同期観測の体制には検討を要する。 所有するハイパースペクトルセンサのライン走査速度が遅いことから、マルチスペクトルセンサ画像との拡大比率が大きく異なるとともに、ピクセルサイズが長方形になるという問題が発生したが、適切な空間処理によって、解決した。 従来研究に用いられてきた、シミュレーションデータではなく、センサのさまざまな問題に対しても強靭に超解像度化を行うことができるアルゴリズムを開発した。マルチスペクトルセンサのスペクトル特性については、事前知識をもとにハイパースペクトルデータから推定することが重要であることが判明した。 国際会議においても、2つのセンサを搭載した衛星データが非常に興味を集めていることが判明した。データ融合によって、両者のセンサの特性を引き出せれば、世界をリードできると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度も再度、航空機実験を行い、ハイパースペクトルセンサとマルチスペクトルセンサの融合を行う。得られた実測データに基づいて、アルゴリズムを用いて、超解像データプロダクツを生産する。また、昨年度の結果と比較することで、変化抽出のアルゴリズムについても検討を行い、データの精度検証を行う。 航空機実験ではなるべく事前に地上物体のスペクトルを調べるとともに、物体検知に適した物体の配置を行い、さまざまな研究に用いることができる基本データを取得する。また、センサの露出についても、シグナルノイズ比に注意しつつ、飽和を避ける運用が必要である。 物質と含有率の積を足し合わせたものが観測されるスペクトルとなる線形モデルにより、物質と含有率を逆推定する混合分離のアルゴリズムについても、実測データを用いた検証を行い、非線形性の役割について検討を行う。 以上の研究により、ハイパースペクトルセンサとマルチスペクトルセンサの融合手法を完成させる。開発された手法は、物質・含有率分離と装置関数推定、ならびに環境要因の軽減手法からなり、数学的に安定なものとする。今後の衛星プロジェクトにおいても、本研究で開発されたアルゴリズムで高度な情報が提供できるようにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度に搭載のための申請処理に時間がかかったこと、植生の盛んな時期に撮像する必要があることを勘案すると、航空機実験を行うことができなかったため、1年遅らせた航空機実験を行っている。 平成26年度夏季に航空機実験を行う計画で進めている。
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