2012 Fiscal Year Annual Research Report
ホール推進機クラスタシステムのビーム・磁場干渉物理の解明とシステム最適化
Project/Area Number |
24360348
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
宮坂 武志 岐阜大学, 工学部, 准教授 (60303666)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安里 勝雄 岐阜大学, 工学部, 教授 (00021626)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 推進・エンジン / ロケット / 電気推進 / 航空宇宙流体力学 / プラズマ計測 |
Research Abstract |
衛星の大型化や有人探査などに関して電気推進機の「大推力化」の必要性に対応するためにホールスラスタのクラスタシステムを製作し、基本特性評価を実施した。本研究では、これまで研究代表者らが研究を進めてきた一様磁場を有するマグネチックレイヤティックスラスタヘッド2基とホローカソード1基を直線上に配置することでSide by side (SBS)とよばれる最小単位のシステムを設計・開発した。本システムではヘッド問距離とカソード軸方向位置を変化させることができる。また電源系として、各ヘッドへの独立に電源を配置する独立電源システムとヘッド共通電源システムを用いた。また、2つのヘッドのコイルによって印加される磁場の向きの組み合わが等しい場合、異なる場合について測定を実施した。推進剤はキセノンを用いた。 製作したSBSはどちらの電源システムの場合においても同時作動が確認できた。上記の条件下で作動時の各ヘッドの放電電流波形を測定した結果、単体作動時と同様に20kHz帯域の放電電流振動がとらえられた。また、共通電源下でヘッド間距離が近い場合のみに2つのヘッドに流れるこの20kHz帯域振動の波形が逆位相の関係がとらえられた。この逆位相現象はヘッド間距離を大きくとった場合には現れないことから、ヘッド問の干渉効果によるものであることが示された。また、本逆位相現象は独立電源下では確認できなかった。 この逆位相効果によって総放電電流値の振幅の抑制が抑えられ、電源負荷の低下に寄与する可能性が明らかになった。このことは共通電源システムを用いる実際のミッション下において、熱防御の観点と並ぶクラスタシステムの優位性を意味している。また、放電電流波形の磁場の組み合わせやカソード位置による明確な影響は確認できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の主目標でホールスラスタクラスタ作動について,計測が容易なシステムを設計段階から開始し,構築することができ,構築したシステムを実際に作動・測定することでクラスタ作動に特有な現象の基礎評価が達成できたから。
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Strategy for Future Research Activity |
確認されたクラスタ特有現象である放電電流振動波形の逆位相効果等についてそのメカニズムを探りクラスタ最適化指針に関する知見を得る理由から,幅広い磁場印加条件下でプラズマ診断と数値解析による干渉場の物理の評価・検討を進め,推進性能を評価してい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度で作動不安定の問題から基礎的なプルームのプラズマ診断が実施できず平成25年度使用となった経費があるが,本診断システムの構築・実施を行い,その結果を基に行う本格的なプラズマ診断,数値解析に使用する。また,これまでに示されたクラスタ時の真空排気系改善の必要性に対応するためにポンプ等の支出を行う。
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Research Products
(5 results)