2013 Fiscal Year Annual Research Report
惑星探査ロボットの走行性能評価のためのPEPTによる紛体三次元解析
Project/Area Number |
24360352
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
桑木 賢也 岡山理科大学, 工学部, 教授 (80302917)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
衣笠 哲也 岡山理科大学, 工学部, 准教授 (20321474)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 惑星探査 / 紛体 / 可視化 / ロボット |
Research Abstract |
月や火星などの天体は非常に細かい砂礫で構成された表面を持つため、ローバーの効率的な移動のためにはローバーと砂礫との力学(テラメカニクス)が重要となる。本研究では粉体解析に用いられるPEPT(Positron Emission Particle Tracking)を導入することでこれまで不可能であった砂礫粒子の3次元運動の可視化を実現し、DEM解析を併用することで惑星探査ローバーの車輪や履帯と砂礫地盤との相互作用の三次元的かつ動的な解析手法の確立を目指している。 前年度3月に続いて8月から9月にかけて、イギリス・バーミンガム大学にてPEPT実験をほぼ2週間、集中的に行った。3月に行った実験ではトレーサの初期配置が深いところでは難しかった。そのため、筒から砂を吸い取り所定の深さまで砂を抜き取って粒子が配置できる装置を開発し、これを用いて実験を行った。新しく開発したこの装置により、初期配置の精度が向上したばかりでなく、実験時間の短縮にもつながり、より多くの、舵角、滑り率の条件で実験データを得ることができた。 研究成果に関してはまず8月に行われた混相流学会にて3月のデータを用いて発表を行った。また、11月には国際学会The 7th Americas regional conf. of the ISTVSにおいても発表を行っている。さらに12月に行われた計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会において優秀講演賞に選ばれている。 このように発表を行った学会でも評価されていることから、本研究で得られたPEPTによる三次元的な粒子軌跡の可視化が画期的なものであることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イギリス・バーミンガム大学においてのPEPTによる実験は予定通り2回(1ヶ月+2週間)にわたって行い、ほぼ予定したデータ数を得ることに成功している。また研究発表も国際学会1回、国内学会3回を行い、12月に行われた計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会では優秀講演賞を受賞している。これらのことから、当初の予定通り研究は進んでいるものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
得られた実験データを整理して検討した結果、粒子の初期配置が8月の実験で新たに開発した初期配置用の装置を利用したことによりかなり改善されたが、部分的に欠けている位置があることが分かった。これまで得られたデータから車輪にかかるせん断力を紛体運動の面から推算する試みを行っているが、上記のデータが部分的に欠けている問題がこの推算に深刻な影響がある場合、再度バーミンガム大学で実験を行うことも検討しなくてはならない。 紛体運動の推算した車輪にかかるせん断力は、車軸に取り付けた力覚センサにより得ているデータを比較し、紛体運動と車輪にかかる力の関連性を明らかにしていく方針である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
8月にバーミンガム大学で行った実験において、トレーサー粒子作成のためのサイクロトロンが故障する事態が発生し、その間実験ができなかった。またPEPT装置自体も故障することがあり、2週間(10日)の予定のうち実際に実験ができたのは1週間(5日)であった。これらは施設および実験装置を管理するバーミンガム大学の責任であったため、実験を行えなかった日に対する施設使用料は不要となった。データ解析の結果、トレーサー粒子の初期配置において不十分なデータもいくつか見られるため、次年度に再度実験することも想定しており、上記の不要となった施設使用料を含め、これに充当するために次年度使用額が生じた。 上記のように予期せぬトラブルのため、当初予定の半分の日数で実験を行った。この点は一日あたりの実験時間を延長するなどして極力、当初予定の実験データを取るよう試みた。しかし、帰国後のデータ解析により、想定通りの初期位置にないトレーサー粒子の軌跡データもあり、これが全体のデータ解析にどのように影響を及ぼすか現在検討中である。再実験が必要なケースが十分考えられるため、現在のところ年度末の3月に再度渡英し、バーミンガム大学で実験することを考えており、これに使用する計画である。
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Research Products
(5 results)
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[Presentation] 車輪下の砂粒子挙動を3次元的に可視化する2013
Author(s)
衣笠,桑木,Leadbeater, Gargiuli, Parker, Seville, 吉田,天野
Organizer
計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会SI2013
Place of Presentation
神戸市
Year and Date
20131218-20131220
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