2013 Fiscal Year Annual Research Report
振動水柱型波力発電プラントの実用化を目指したツイン衝動型タービンの開発
Project/Area Number |
24360362
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Research Institution | Matsue National College of Technology |
Principal Investigator |
高尾 学 松江工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (00332057)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 再生可能エネルギー / 海洋工学 / 流体工学 / 波力発電 |
Research Abstract |
当該年度の研究については,当初の計画では,タービン単体の性能を解明するために定常流および周期的往復流を用いた性能試験を中心に研究を進める予定であった.しかし,年度当初の性能試験と数値解析により,2つの衝動型タービンのうち逆方向タービンへ漏れる気流の流入量が全体の3割以上となることがわかったため,当該年度は逆方向タービンへの流入を抑制するために流体ダイオードを採用し,その効果の調査を中心に研究を進めた. 流体ダイオードとしては,円錐ノズル型および鈍頭物体,ドーナツ状流路,ノズル部で構成される特殊型の2つの形状を採用した.円錐ノズル型については,遠心送風機とよどみ室で構成される定常流発生装置に直径240mmの円管を接続し,その管内にダイオードを設置して実験した.実験では,管内に定常流を発生させ,ダイオードを正方向と逆方向に設置したときのダイオード前後の圧力差を測定した.本研究では,流体ダイオードの正方向と逆方向での圧力差の比を圧力比と定義し,圧力比に及ぼすノズル部の広がり角の影響を調べた.一方,CFDによって流体ダイオードにおける内部流動を数値解析し,ここで得られたダイオード前後の圧力差および圧力比を実験値と比較した.その結果,円錐ノズル型流体ダイオードの好適な広がり角は50度で,そのときの圧力比は2.0であった.また,実験値と計算値はよく一致し,本研究で採用したCFDの妥当性が示された. 次に特殊型流体ダイオードについて,上記CFDの手法を用いて,内部流動の様子と圧力差に及ぼすノズル部の広がり角の影響を明らかにした.その結果,好適なノズル広がり角は40度で,そのときの圧力比は4.2であった. 最大効率点におけるタービン部の圧力比は2.6であるため,上記の結果より,2つの流体ダイオードのうち特殊型では整流効果が得られるが,円錐ノズル型ではその効果は得られないことがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では,平成25年度においてタービンの好適形状を解明することになっていたが,好適な流路形状に関する調査を優先したため,タービンの好適形状の提示にはあと2,3か月の期間を要すると思われる.一方で,研究最終年度である平成26年度においては実証試験を実施することになっているが,その試験装置の設計製作がほぼ終了している,現在より1か月以内には実証試験が開始できる状況にあり,タービンの好適形状が解明できれば,平成26年度の前半には実証試験を終了できる見込みである.したがって,本研究はおおむね順調に進展していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の3年目である平成26年度は,研究最終年度として,実際に2台の衝動型タービンを組み合せた性能試験装置を製作し,波力発電用ツイン衝動型タービンの実証試験を実施する予定である。そして,得られた結果より本タービンの有用性の評価および流路形状を含めた本タービンの好適形状を提案する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度はタービン製作のための費用を物品費として計上していたが,当初計画していたタービン性能試験より好適な流路形状の調査を優先したため,当該年度においてはタービン製作のための費用を使い切ることができなかった. 平成26年度の予算執行について,主としてタービンの実証試験装置に充てる.また,試験装置製作および実証試験の補助者に対する謝金,さらには成果発表の旅費などを計上している.
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