2013 Fiscal Year Annual Research Report
アレー型ボアホールレーダによる断層、き裂や鉱脈の3次元位置形状計測と分類法の確立
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24360374
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Research Institution | Osaka Electro-Communication University |
Principal Investigator |
海老原 聡 大阪電気通信大学, 工学部, 教授 (20301046)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 指向性ボアホールレーダ |
Research Abstract |
本年度の研究成果を以下に列挙する。 斜めダイポールアレーアンテナの開発 斜めに配置したダイポールアンテナをアレー配置することで、任意の偏波状態を受信することが可能か検討した。このためには、流通するアンプで受信電圧に対する感度を十分得られるように、坑井内の中心導体円柱(アンプや電池内蔵)からの同軸給電を行うことが必要である。この場合、導体円柱とアンテナ間の干渉が問題となる。垂直ダイポールアレーの場合で、導体円柱とアンテナ素子間の干渉の大きさを理論的に表現した干渉度を提案し、設計法を確立しており、これと同様な手法でアンテナ設計法を提案した。 ダイポールループアンテナの開発 ループ面を水平にしたループアンテナと垂直ダイポールアレーアンテナを組み合わせることで、到来する波の偏波状態が推定可能か検討した。これらのアンテナ素子は同軸給電されており、モーメント法で平面波入射に対する応答をシミュレーションした。その結果、アレー信号を適切に合成することで、偏波の推定が可能であることが判明した。 坑井におけるモード変換:ボアホール効果により水平偏波が斜め入射した場合には電界の垂直成分(=主に垂直ダイポールが受信する成分)が発生することを定量的に表現できることをフィールド実験で示すことができた。 四条畷実験場(大阪府)におけるフィールド計測:斜めダイポールアレーアンテナ及びダイポールループアンテナを土中に掘削した坑井に挿入し、坑井の外部から任意の直線偏波を入射させる実験を行った。斜めダイポールアレーアンテナに関しては、シミュレーションで見られた偏波に対する特有な応答があることを確認した。これは同アンテナで偏波状態の推定が可能であることを示している。また、ダイポールループアンテナでは、受信データへモーメント法を用いた偏波状態推定法を適用したところ良好に偏波推定ができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アンテナの開発については概ね順調に行うことができた。最終年度で実施するフィールド実験におけるデータの質等にも依存するが、概ね目標には到達できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度が最終年度であるため、研究の総括を行う。特にフィールド実験での試作したアンテナ及びレーダシステムの評価が重要になる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
フルポラリメトリック計測のため送信アンテナシステムのアレー化を行う必要があり、送信アンテナシステムの地中部に高周波スイッチを導入することにしていた。この試作には200万円程度の予算が必要であり、2013年度までの予算では足らず、開発が難しくなっていた。このため、2013年度の残金を2014年度予算へ繰り越す形にすることで、2014年度に送信アンテナシステムの試作を行うことを可能にする。 「直接経費次年度使用額」と2014年度の直接経費と併せて、送信アンテナシステムの試作、野外計測を実施する。
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