2013 Fiscal Year Annual Research Report
選鉱・製錬技術を用いた2次電池からのレアメタルの分離と回収
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24360376
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
芝田 隼次 関西大学, 環境都市工学部, 教授 (70067742)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古屋仲 茂樹 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境管理技術研究部門, 主任研究員 (60357035)
村山 憲弘 関西大学, 環境都市工学部, 准教授 (90340653)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | リサイクル / 湿式処理 / 乾式処理 / 2次電池 / リチウムイオン電池 / ニッケル水素電池 |
Research Abstract |
今年度の研究では、選択的浸出法によるLiとCoの分離・回収法について検討した。これは必要とする金属イオンだけを選択的に浸出して、不要な金属成分を浸出させない技術であり、リチウムイオン電池からのLiやCoのリサイクルを可能にする方法である。さらに、2次電池としてニッケル水素電池を選び、使用済みニッケル水素電池からのレアメタルの回収に関する研究を行った。 使用済みLIBを焼成、粉砕、分級を行ったふるい下産物からのLiとCoの回収プロセスの構築について検討を行った。LIBのふるい下産物から純水によりLiを選択的に浸出した後、溶媒抽出法と晶析剥離法によりLiをLi2CO3として回収した。純水による浸出残渣から1.0mol/dm3HNO3を用いてCoの選択的浸出を行い、浸出液中のCoをシュウ酸塩沈殿法により分離・回収した。浸出工程でLiおよびCoを選択的に浸出し、晶析剥離法とシュウ酸塩沈殿法を用いて回収することにより、LiとCoの回収プロセスを簡略化することができることを明らかにした。 前年度の研究成果により、リチウムイオン電池の処理方法として、電池の放電処理-焼成-粉砕-分級-磁力選別-ふるい下産物の湿式処理を経る一連の処理プロセスを提案した。ニッケル水素電池についても同様の考え方を適用し、Ni、Fe、水素吸蔵合金として分離回収する方法を検討した。乾式処理と湿式処理の組み合わせによって、レアメタルを濃縮しながら金属酸化物や炭酸塩の形で回収できることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リチウムイオン電池焼成物に対して様々な乾式処理を施しレアメタルを濃縮したLIBふるい下産物に対して、次工程にあたる浸出操作にて適切な浸出剤を適用することにより、LiおよびCoを選択的に浸出できることを明らかにした。晶析剥離法とシュウ酸塩沈殿法を用いてこれらのレアメタルを回収することにより、LiとCoの回収プロセスを簡略化することができる可能性を見出した。リチウムイオン電池に加え、ニッケル水素電池の処理プロセスを提案するまでに至っている。 今年度に得られた一連の研究成果に鑑みると、研究提案時の予定通りに進捗していると考えている。ここで得られた考え方は当面は適用可能であるが、LIBそのものの組成や形状が大きく変化している状況も考慮しなければならず、新たな考え方の処理方法が必要と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究成果によって使用済み2次電池からレアメタルを効率よく回収する一連のプロセスを構築することができたと考えている。ここで得られた考え方は当面は適用可能であるが、LIBそのものの組成や形状が大きく変化している状況も考慮する必要がある。具体的には、携帯電話やパソコンの電源に用いられてきたLIBがハイブリッド車や電気自動車に搭載されるようになり、LIBの需要は急増している。その一方で、LIB生産量の増加とともに正極材料がLiCoO2から3元系(LiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2)、LiMn2O4と安価な材料に向かっている。さらに、LiFePO4のような材料が使われる可能性があり、価格の低下とともに回収対象のレアメタルがなくなるという問題が発生している。このような短期間での組成の変化は、リサイクルという点で好ましくない。リチウムイオン電池の処理の考え方に対して抜本的な見直しが迫られると考えている。このような状況に鑑みて、新しい考え方に基づく処理プロセスを構築することを念頭に置いて今年度の研究を進めて行きたい。
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