2013 Fiscal Year Annual Research Report
分布停滞および拡大に関わる進化的要因:チョウ類を用いての検証
Project/Area Number |
24370005
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
河田 雅圭 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (90204734)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 分布拡大 / 温暖化 / 進化 / 遺伝子流動 |
Research Abstract |
分布を北上させている種(キタキチョウ、ヤマトシジミ、ウラギンシジミ、ツマグロヒョウモン)、分布を停滞させている種(コジャノメ、ヒカゲチョウ、ホシミスジ)について、北限集団および中心部4-5集団の採集を行った。北上種については、ほぼサンプリングが完了した。停滞種の北限集団については、充分なサンプリングができず、26年度に実施する予定である。 充分なサンプルのある4種、キチョウ、コジャノメ、ヤマトシジミ、ヒカゲチョウについてRAD-seqを行った。180個体について、ゲノムDNAを抽出し、断片化、タグ付け後、Illumina HighSeqによって断片末端のDNA配列を決定した。その後、ソフトウエア(Stacks)を用い、アセンブルを行いSNPの検出を行った。キチョウで約400000, ヤマトシジミで約100000,コジャノメで約250000,ヒカゲチョウで、220000のリード数を得ることができた。ただし、個体間で共通のリード数が少なく、特にSNPに関しては5個体以上で検出可能なものが下100以下になり、有効な数のSNPを得ることができなかった。その後、再度、Illumina MiSeqにより、再解析を行ったが同様に上手くSNPを検出できなかった。DNAの質が悪く、同じ断片が読まれていないことが原因であると思われた。 今後の対応について、検討し、マイクロサテライト領域で挟まれた断片を増幅後、次世代シークエンサーで解読するという方法の検討を始め、他の生物で上手くいくことが確かめられ、26年度は、その方法(MIG-seq)を用いることとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
チョウのサンプリング、DNA解析(RAD-seq)などは、予定どおり実施した。しかし、RAD-seqによるSNPの検出を幾つか異なる方法で試みたが、充分に必要なSNP数が確保できなかった。検出されたSNPをつかって、局所適応遺伝子の検出を行う予定であったが、その段階まで到達しなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
イクロサテライト領域で挟まれた断片を増幅後、次世代シークエンサーで解読するという方法(MIG-seq)の検討を始め、他の昆虫で上手くいくことが確かめられた。この方法は、ゲノムの断片化が進行していても、増幅するため充分に同一のコンティグを得ることが可能である。この方法による解析は、すぐに実施することが可能で、研究の遅れを取り戻すことが可能である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次世代シークエンサーにかかる費用を計上していたが、解析の条件の検討に時間を要したため、次年度に繰り越した。また、実験および解析にかかる人件費を繰り越した。 前年度できなかった次世代シークエンサー解析に使用する。また、実験支援員を一年間雇用する。
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