2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24370017
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田中 歩 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (10197402)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高林 厚史 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (90546417)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | クロロフィル / 代謝 / 酵素 / 常緑 / 細胞死 |
Research Abstract |
本研究では、(1)クロロフィル代謝に関わる全遺伝子の同定、(2)調節機構の解明、(3)クロロフィル代謝の多機能性の解明、(4)クロロフィル代謝経路の誕生と進化の解明、(5)応用研究への展開を目的としているが、本年度は、(2)と(4)に焦点を当てて取り組んだ。 1.クロロフィル代謝の制御(目的(2)) クロロフィルb合成酵素CAOは三つのドメイン(制御ドメイン、リンカードメイン、触媒ドメイン)からなっている。制御ドメインは、負のフィードバックによるクロロフィルb合成調節とクロロフィルbのLHCへの優先的分配に関与していると考えられる。制御ドメインのどの部分がこれらの機能と関連するのかを明らかするため、まず、制御ドメインの構造予測を行った。その結果、制御ドメインはさらに4つのサブドメインに分けられることが解った。そこで、これらのサブドメインを欠損させた制御ドメインにGFPを融合したものを、シロイヌナズナの野生型とクロロフィルb欠損株(chl-1)に導入し、蓄積するタンパク質の量を調べた。その結果、クロロフィルb認識に関わっているのは、1番目のサブドメインであること、2番目のドメインはプロテアーゼの認識、4番目のドメインは分解を誘導する機能を持っていることが解った。 2.クロロフィル代謝経路の誕生と進化の解明(目的(4)) CAOはRieskeセンターと非ヘム鉄を持った、オキシゲナーゼであり、メチル基をフォルミル基に転換する。このファミリーに属する全てのオキシゲナーゼでは、単一のタンパク質にこれら2つのモチーフが存在する。ところが、プラシノ藻に属するマイクロモナスでは、CAOが2つのサブユニットに分かれ、それぞれRieskeセンターと非ヘム鉄を持っている。生化学的な解析から、二つのサブユニットが複合体を形成し、クロロフィルbの合成に関わっていることを明らかにした。このように、マイクロモナスが特別のCAOを持っているのは、その特殊な色素系と関連していると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
クロロフィル代謝経路の酵素の同定や調節機構の解明のためのスクリーニングが順調に進み、クロロフィル分解の調節と経路に関してある程度結論が導けたことから、本研究課題の開始年度としては、おおむね順調と判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね計画通り研究を推進する。クラミドモナスを用いた変異株のスクリーニングで、幾つか重要な株が得られたので、この解析にある程度重点を置く。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度、作製したクラミドモナスのタグライン10万株をスクリーニングし、有望な変異株を200単離した。単離した200株全ての原因遺伝子を決めるため、膨大な数のPCR、シークエンスを行う予定である。経費はこの目的に使用する。
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Research Products
(16 results)