2013 Fiscal Year Annual Research Report
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24370017
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田中 歩 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (10197402)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高林 厚史 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (90546417)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | クロロフィル / 代謝 / 酵素 / 常緑 / 細胞死 |
Research Abstract |
①クロロフィル代謝に関わる全遺伝子の同定、②調節機構の解明、③クロロフィル代謝経路の誕生と進化の解明に焦点を当てて研究を行った。 ① Mg脱離酵素の同定にむけて: Mg脱離酵素がなければ、Pheophytinが合成されない。Pheophytinは光化学系IIの必須の成分であるため、Mg脱離酵素を失った植物は光化学系IIを形成できないはずである。そこで、クラミドモナスの変異株10万をスクリーニングして、光化学系IIに変異が起こった株(Fv/Fmが低い)のうち、88株についてタグが挿入されているゲノム上の場所を決定した。その中の幾つかは、光化学系IIの形成を担う既知の遺伝子や機能不明な遺伝子が含まれていた。その中で、Mg脱離酵素の候補となる遺伝子に変異のある株が得られた。この株は、光化学系IIの形成が正常に進まなかった。 ②クロロフィル代謝の調節機構: クロロフィルaとbはクロロフィルサイクルの4つの酵素CAO、CBR、HCARによって相互に転換される。そこで、これらの酵素タンパク質の蓄積がどのように調節されているかを調べた。ます、CAOの過剰発現を行い、クロロフィルbを通常より多く蓄積する植物を作製した。このとき、CBR(NOLとNYC1)、HCARの蓄積を抗体で調べたところ、NYC1のみ蓄積が誘導されていた。蛍光の解析を行ったところ、機能しないLHCIIがNYC1の蓄積を誘導していることが示唆された。 ③クロロフィル代謝経路の誕生と進化の解明: クロロフィル代謝に関わるDVR, HCARの進化を調べた。その結果、真核緑色植物や2次共生生物にしかないクロロフィル代謝活性が、既に部分的にシアノバクテリアに存在していることを示し、代謝系の進化に酵素のPromiscuousな活性が重要な役割を果たしたことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Mg脱離酵素の同定までは至らなかったが、その候補遺伝子を特定できたこと、またNYC1の蓄積機構の解明に糸口を付けたこと、さらにクロロフィル代謝の進化に関して仮説を提案できたことなどから、おおむね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね計画通り推進する。特に、Mg脱離酵素の同定に全力を傾ける。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
遺伝子同定のためプライマーを発注する予定であったが、実験の遅れのため年度内に購入することができなかった。 実験の目処は立っており、繰越額については4月中に全て使用する見込み。
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[Presentation] 植物を創る2013
Author(s)
田中歩
Organizer
第137回顕真館公開講演会
Place of Presentation
龍谷大学(京都市)
Year and Date
20131015-20131015
Invited
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