2014 Fiscal Year Annual Research Report
高等植物の種子特異的なアブシジン酸シグナル伝達ネットワークの包括的解明
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24370023
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
平山 隆志 岡山大学, その他部局等, 教授 (10228819)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅澤 泰史 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (70342756)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アブシジン酸 / フォスファターゼ / プロテオミクス / プロテインキナーゼ / 発芽制御 / シロイヌナズナ |
Outline of Annual Research Achievements |
ABAのシグナル伝達においてタンパク質のリン酸化は中枢に位置しており、タンパク質脱リン酸化酵素PP2Cは重要な制御因子の一つである。本課題研究では種子特異的ABA関連PP2C、AHG1, AHG3に注目し、これらの制御機構やリン酸化プロテオーム解析を進めている。 前年度に分離したAHG1やABI5との結合に特異的に影響するAFP3の変異遺伝子、それぞれafpm1, afpm2がABI5のABA応答遺伝子発現に及ぼす影響を詳細に分析した。その結果、双方の変異とも、AFP3の発現抑制活性を著しく低下させることが、明らかとなった。これにより、AFP3の結合活性が発現抑制に必須であることが示されるとともに、結合領域も同定された。一方、in vitro 翻訳系により合成したこれらの蛋白質を用いて結合実験を行ったところ、結合の特異性は認められなかった。このY2Hとin vitro実験との矛盾については、今後検討しどちらの結果がより植物細胞内の機能を反映しているかを明らかにする必要がある。また、タンパク質分解に影響をおよぼすahg12変異に関して、EIN3, ABI5, PIL5を対象にLUCを用いて定量的に分解速度を測定する系を構築した。 種子特異的に働くPP2CであるAHG1およびAHG3の機能をさらに詳しく調べるために、AHG1やAHG3が影響を及ぼすタンパク質リン酸化ネットワークを大規模に解析する必要がある。まずシロイヌナズナ種子を材料としたリン酸化プロテオーム解析の実験系を構築した。シロイヌナズナ種子から精製したリン酸化ペプチドについて、質量分析計を用いてショットガン解析を行ったところ、約300種のリン酸化ペプチドの情報が得られた。シロイヌナズナ植物体を用いた場合(約5000種)に比べかなり少ないが、これは種子のリン酸化タンパク質の数を反映している可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
AFP3変異の影響を確定し論文を発表する予定であったが、変異タンパク質の相互作用に関して酵母Y2Hとin vitro結合実験で矛盾する結果が出たため、変異に関しての解析が頓挫してしまった。形質転換体ができつつあり、解析を行える状況になった。また、ahg2ahg3二重変異株の種子の収穫が思うように進まず、プロテオミクス解析が遅延した。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き、AHG1-AFP3-ABI5間の機能制御機構の解析と、ahg1, ahg3変異株での種子リン酸化タンパク質の変動解析を行い、種子におけるリン酸化タンパク質、AHG1, 3-PP2Cの機能、発芽の関係を明らかにする。AHG1-AFP3の相互作用については、ほぼ確定するデータを得ているので、論文による公表を行う。AHG1, AHG3、AFP3, ABI5の高発現株を用いての解析も試みる。
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