2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24370032
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
志賀 向子 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90254383)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 慎介 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (70347483)
泰山 浩司 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (60148690)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 光周性 / 概日時計 / ハエ |
Research Abstract |
昆虫は生存に適した季節に成長や生殖を行い、不適切な季節には休眠に入り過酷な環境をやり過ごす。昆虫は、一定期間の光周期や温度情報から季節を知り、その情報を脳で処理したのち内分泌系を介して成長(生殖)と休眠を調節している。本研究は、ハエの休眠調節に関わる脳ニューロンとそこに発現する分子を特定することを目的とする。本年度は1)トランスクリプトーム解析と2)脳ニューロパイル構造および脳間部、脳側方部、概日時計ニューロンの解析を行い、以下の結果を得た。 1)ルリキンバエの脳中央部-食道神経節に発現する遺伝子を次世代シーケンサーにより解析し、長日高温条件羽化後1日、2日、短日低温条件羽化後3日、7日の合計4サンプルからそれぞれ1億リードペアを得た。これらのアセンブリを行いトランスクリプト配列を得た。 2)ルリキンバエの脳をシナプシン抗体を用いてニューロパイル構造を共焦点レーザ顕微鏡により解析した。また、バックフィルと神経ペプチドpigment-dispersing factor (PDF)の抗体を用いて脳ニューロンの二重染色を行った,,PDF抗体は概日時計ニューロンと卵巣発達を抑制する脳側方部ニューロンの一部を標識する。その結果、前大脳の背側中央部で、PDF免疫陽性ニューロンから卵巣発達に重要な脳間部ニューロンへ神経接続があることがわかった。さらにPDFとシナプシンの2重免疫染色により、PDF免疫陽性ニューロンは脳間部、脳側方部ニューロンの付近でシナプス出力していることがわかった。また、ノハラカオジロショウジョウバエのPDF陽性ニューロンの分枝形態を長日条件、短日条件のそれぞれ昼と夜で比較した。その結果、PDFニューロンの分枝の広がり方に1日の時刻、または日長による変化は見られなかった。これより、概日時計ニューロンの分枝形態の変化により時刻情報や日長情報が伝えられる可能性は低いと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
次世代シーケンサー解析により目的としていた光周期温度条件間での脳内に発現する遺伝子の比較を行うことができた。また、概日時計ニューロンと休眠調節に関連するニューロンとの接続関係を調べることができた。 今後、これら遺伝子やニューロン接続部の機能面への解析へ進むことができる。
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Strategy for Future Research Activity |
予定していたマイクロアレイ解析を次世代シーケンサーによる条件・日齢問の検体比較に変更する。今後は本年度の比較により発現量に差が出た遺伝子をリアルタイムPCRで確認し、注目すべき遺伝子を設定する。また、休眠調節に対し重要な脳間部、脳側方部ニューロンのファイバーを突き止める。
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Research Products
(5 results)