2012 Fiscal Year Annual Research Report
TFIID複合体を中心としたヌクレオソーム構造変換機構の立体構造基盤
Project/Area Number |
24370050
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
千田 俊哉 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 教授 (30272868)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | X線結晶構造解析 / クロマチン / ヌクレオソーム / 転写 / TFIID / 精製 / 複合体 / 天然変性状態 |
Research Abstract |
平成24年度は、TAF7の精製法を既に確立していたものの純度が90%程度と不十分だったので、純度向上のための精製法の改善を行った。その結果、純度95%の精製標品が得られたので結晶化を行ったが、結晶を得られる兆候が見られなかった。そこで精製後のサンプルの状態を確認するためにプロテアーゼによる限定分解・CD解析を行ったところ、構造形成領域と天然変性領域が共存することが示唆された。 さらに詳細に精製標品の状態を調べるために、安定同位体ラベルしたタンパク質を用いてNMR測定を行ったところ、大部分の領域は変性しているが、いくつかの領域がとびとびに2次構造を形成していることが示唆された。以上の解析から、TAF7は単独では立体構造を形成せず、相互作用相手と相互作用することで初めて明確な立体構造を形成することが示唆された。 この結果を受けて、さらにTAF7の立体構造を安定化させるための相互作用相手である、TAF1の各種ドメインの精製方法の確立を行うこととした。TAF1のHATドメイン周辺は、ユビキチン様ドメイン-HATドメイン-ユビキチン化酵素ドメイン(E1/E2ドメイン)-RAPIDドメイン(TAF7と直接結合するドメイン)-HMGボックス(DNA結合ドメイン)という構成になっているので、これらのドメイン及びその組み合わせについて精製方法の確立を行うこととした。これまでに、ユビキチン様ドメイン、HATドメイン、HATドメイン-E1/E2ドメイン、E1/E2ドメイン-RAPIDドメイン、RAPIDドメイン、HMGボックス下記のドメインについてHisタグ融合タンパク質を大腸菌にて発現させるためのコンストラクトを構築済みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度はTAF1-HATドメインの精製法の確立を主たる計画とした。しかし、TAF7の精製法の改善を進めてNMRにより分析した結果、TAF7単独では構造を形成せずに、相互作用因子依存に立体構造を形成する天然変性領域を内包するタンパク質であることがわかった。これは予想外に得られた知見である。TAFI-HATドメインについては、この知見に合わせて、HATドメインだけでなくTAF7が直接相互作用するRAPIDドメインなど、複数のドメイン領域を準備することとした。これらを考えれば、計画はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
TAF7が単独では構造を形威しないであろうことが予想されたので、TAF7の立体構造を安定化させるための相互作用相手であるTAF1の各種ドメインの精製方法の確立をめざす。発現用コンストラクトは作製済なので、これらを使って順次発現と可溶化の確認を行い精製法を確立する。不溶性画分に分画されたものについては、培養条件、コンストラクト、タグの変更を行い可溶化を試みる。精製後、TAF7と混合して複合体を形成させてから結晶化する。もしくはコンストラクトを再構築して共発現を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額12,453円は、次年度必要な大腸菌生育用の培地購入費用に充当するため繰り越す事とした。
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