2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24370057
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
後藤 聡 立教大学, 理学部, 教授 (60280575)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 自然免疫 / 糖鎖 / 遺伝学 |
Research Abstract |
自然免疫は、病原体が体内に侵入したときに最初に惹起される防御反応である。私達は、自然免疫の活性化に重要なToll/Toll-like receptor (TLR) pathwayが、糖鎖修飾によって負に制御されていることを見出し、その糖鎖修飾に必要なsenju遺伝子を同定した。そこで本研究では、私達が見出した糖鎖がどのようにして自然免疫を制御しているのかを明らかにすることを目指している。 昨年度までに、senjuが関与する糖鎖はToll/TLR pathwayを抑制すること、そして、その糖鎖構造はGalactoseを含む構造であることを見出している。 本年度は、そのGalactose含有構造が、感染などの影響によって変化しないかを解析した。その結果、感染前の自然免疫が活性化していない状況では、Galactose含有構造が多く存在するが、感染後の自然免疫が活性化している状況では、Galactose含有構造が有意に減少していることを見出した。Galactose含有構造は自然免疫を抑制することから、通常状態では自然免疫が異常に活性化しないようにGalactose含有構造は多く存在するが、一旦、感染がおこると速やかに自然免疫が活性化するようGalactose含有構造が減少すると考えられた。実際に、senjuを過剰発現させておくと、感染させても自然免疫が充分に活性化しないことを見出している。以上の結果は、糖鎖構造が自然免疫をダイナミックに制御する初めての例となり、学術的に重要な発見と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
自然免疫を制御するsenjuの役割を明らかにするのが本研究の目的であった。しかし、そのsenjuが関与する糖鎖構造が感染によって変化することを見出したのは、予想以上の成果ということができる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、感染によって、このGalactose含有構造が減少するメカニズムを明らかにする予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
新たに発見された感染による糖鎖構造の変化を解析する必要が生じた。その解析には時間がかかるため、次年度にも実験を行う必要が生じたため。 感染による糖鎖構造を変化させる原因遺伝子の同定を行う。そのスクリーニングのための費用や人件費に使用する。
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Research Products
(2 results)