2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24370061
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
船津 高志 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (00190124)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 1分子生理学・生化学 / 1分子イメージング / ナノ計測 |
Research Abstract |
本年度は、以下の3項目について検討を行った。 ナノスリット基板の作製と評価繊維状超分子複合体と生体分子間の弱い相互作用をイメージングするためにナノスリットを作製した。石英ガラス基板に金属薄膜を約100nm蒸着し、これに幅数十nm、長さ20μmの開口を開けた。幅の大きさによってエバネッセント場の侵入長がどのように変わり、溶液中の蛍光分子がどれだけ背景光として1分子イメージングの妨げになるかを評価した。その結果、幅が約100nm、ガラスを約30nm掘り下げたナノスリットが適していると判断した。 通常のガラス基板上におけるキネシンのステップのnm計測キネシンの化学・力学エネルギー変換を測定するための準備として、キネシンのステップを量子ドットの蛍光を利用してnm計測する実験系を構築した。まず、キネシンの重心位置を検出するために、表面のシステイン残基を他のアミノ酸に置換し、さらに尾部が途中までしか無いキネシン変異体(486残基)のC末端にステインを付与した(Cys-lightK486)。このシステインをビオチン化し、ストレプトアビジンを結合した量子ドットで標識してキネシンの重心を検出した。キネシンの頭部の動きを直接計測する場合は、C末端にAviTagを導入し、さらにG44Cの変異を入れてこのシステインに量子ドットを結合させFIONA(Fluorescence imaging with one-nanometer accuracy)によりキネシンのステップをnm計測することに成功した。 蛍光性ATPの選択微小管上のキネシンの運動を、様々な蛍光性ATP(例えばCy3-ATP、Alexa647-ATP)を用いて行い、KmおよびVmaxを決定した。その結果、キネシンの基質としてCy3-ATP、Alexa647-ATPが適していることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
繊維状超分子複合体と生体分子間の弱い相互作用をイメージングするために最適なナノスリットの形状を決めることが出来た。また、量子ドットで標識したキネシンの16nmステップを測定することにも成功した。さらに、キネシンのステップとATPターンオーバーの同時計測を行うのに適した蛍光色素を決定することも出来たことなども考慮すると、研究計画はおおむね順調に進展していると評価される。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の変更あるいは研究を遂行する上での課題等もなく、当初の研究計画に従って研究を遂行する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
年度末に、プラズマ洗浄装置が故障したため、ナノスリット基板の製造を中断した。そのため、ナノスリット基板を作製するための資材を購入することを見送ったため研究費を次年度に繰り越すことになった。プラズマ洗浄装置の修理が完了したので、前年度に作製を予定していた分も含めてナノスリット基板を作製する。他の経費については、当初の予定どおりである。
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