2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24370067
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
後藤 祐児 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (40153770)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八木 寿梓 大阪大学, 蛋白質研究所, 助教 (10432494)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 蛋白質 / フォールディング / アミロイド線維 / 凝集 / 超音波 / β2ミクログロブリン / アミロイドβペプチド / αシヌクレイン |
Research Abstract |
アミロイド線維の構造や形成機構を理解することは、これらの関わる疾患の病態解明に止まらず、広く蛋白質を理解するために重要である。研究代表者は、アミロイド線維の形成は、「原因蛋白質の過飽和状態からの析出」であることを提案した。本研究では、蛋白質の異常凝集、特にアミロイド線維形成反応を、この提案に基づいて研究する。超音波照射は過飽和を解消する有効な手段であり、今年度は超音波を用いてアミロイド線維の形成機構を研究した。 (1)システムの改良:超音波がアミロイド原因蛋白質の過飽和を解消しアミロイドを生成する有効な方法である。これを効率的に行うために、96穴プレートリーダと超音波装置を組み合わせることによって、アミロイド形成を効率よく、迅速に測定する装置HANdai Amyloid Burst Inducer(HANABI)を改良した。特にプレートを移動させて超音波を均質に照射すること、浴槽内の水を脱気して、超音波の伝播効率を高めることができた。 (2)超音波による線維形成の促進:超音波を用いて、さまざまな蛋白質のアミロイド線維形成が促進されることを検証した。材料の蛋白質としては、これまで主に使用してきたβ2ミクログロブリンに加え、アルツハイマー病に関わるアミロイドβ、パーキンソン病に関わるαシヌクレイン、角膜変性症に関わるケラトエピセリン、またモデル蛋白質としてニワトリ卵白リゾチームを用いた。 (3)超音波による線維崩壊の促進:超音波を継続的に照射することによつて、β2ミクログロブリンのチオフラビンTの蛍光強度は減少した。これと、線維崩壊の関係を調べた。また、アミロイドβについては臨界濃度以下で超音波を照射することによって、線維を溶解させることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アミロイド線維の形成は、原因蛋白質の過飽和状態からの析出であることを証明するために、超音波照射を用いた3つの課題を設定した。「(1)システムの改良」については、水槽の脱気によって超音波の伝播効率を高めることができた。「(2)超音波による線維形成の促進」については、予定通りの蛋白質を用いた実験を行った。「(3)超音波による線維崩壊の促進」については、該当する論文の作成を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き超音波照射を用いてアミロイド線維の形成機構を研究する。主な課題として以下を設定する。(1)超音波照射システムの改良、(2)超音波による線維形成の促進、(3)超音波による線維崩壊の促進、(4)一線維蛍光顕微鏡によるアミロイド線維形成反応の解析。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は研究が順調に遂行し、物品費(消耗品等)の支出が予定より少なく、約45万円の直接経費が次年度使用となった。同予算は、次年度の消耗品経費にあてて、研究を推進する。
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Research Products
(5 results)