2012 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質合成サイクルを駆動するリボソームのストーク複合体:高速・高効率化の分子機構
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24370073
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
内海 利男 新潟大学, 自然科学系, 教授 (50143764)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊東 孝祐 新潟大学, 自然科学系, 助教 (20502397)
三好 智博 新潟大学, 研究推進機構, 助教 (60534550)
姚 閔 北海道大学, 大学院・先端生命科学研究院, 教授 (40311518)
内山 進 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (90335381)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | リボソーム / 翻訳因子 / ストーク / リボソーム蛋白質 / 翻訳サイクル / EF-1α / EF-2 / IF5B |
Research Abstract |
リボソーム中に複数コピー存在するストーク蛋白質の、高速・高効率な蛋白質合成機構への寄与を分子レベル解明する目的で平成24年度は以下の解析を実施し、新たな知見が得られた。 1.ストークC末端と翻訳因子間結合機構 : 古細菌Pyrococcus horikoshiiの翻訳因子であるaEF-1αまたはaEF-2とストーク蛋白質aP1二量体またはaP1変異体間の結合性をnative-PAGEを用いて解析した。その結果aP1ストークのC末端部位の保存された疎水性アミノ酸の他への置換により、因子結合性が顕著に低下し、aP1のC末端の疎水性アミノ酸残基がaEF-1α/aEF-2との結合に関与することが判明した。 aIF5Bについては別の古細菌Aeropyrum pernixの試料を用い、同様にaP1のC末端のアミノ酸が結合に関わることを示した。さらに、aEF-1α、aEF-2、aIF5BそれぞれとaP1のC末端ペプチド複合体の結晶化にそれぞれ成功しており、詳細なaP1ストークの翻訳因子結合機構が原子レベルで解明されつつある。 2.aP1ストーク二量体とaEF-1α/aEF-2の同時結合性 : aP1に対し過剰量のaEF-2を加え生じた複合体に新たにaEF-1αを加えることで、aEF-1α・aP1・aEF-2の三量体が形成されることをnative-PAGEで示した。また、aP1に対して最初にaEF-1αを加え、その後aEF-2を加えてもその三量体が形成し、この三量体が極めて安定性が高く優先的に形成されることが示された。 3.aP1ストークとaEF1α間結合性はaEF-1βにより調節される : aP1とaEF1α間の安定な結合性がaEF-1βの添加により容易に解離することを初めて解明し、aP1とaEF-1α間の結合性は永続的なものではなくaEF-1βにより調節を受けることをnative-PAGEにより明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リボソームと翻訳因子間の相互作用にストーク蛋白質のC末端が関与することが確証され、その相互作用の実態が結晶構造でも明確になりつつあることは初年度の成果としては予想以上の成果であった。一方でaEF-1a・aP1・aEF-2の三量体形成の実証はNative-gelで示されたが、タグ付き組み換え体の構築がやや遅れ、当初計画したプルダウンアッセイについては次年度に持ち越された。
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Strategy for Future Research Activity |
aP1ストーク二量体と翻訳因子間の複合体の質量を分析するために質量分析を試みたが複合体が不安定で試料分析では検出できなかった。この問題に対し、aP0・aP1複合体形成後に翻訳因子との結合性を再度検討するとともに分子間相互作用システムBiacoreを用いた分析を行う他、プルダウンアッセイでも検証することとした。その他は当初の計画に従い研究を実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初計画した平成25年度の研究内容である、古細菌ストーク複合体aPO(aP1)_2(aP1)_2(aP1)_2の各aP1の機能面の分析に加え、平成24年度に実施までに至らなかったaP1ストーク二量体と翻訳因子複合体のプルダウン実験や分子間相互作用システムBiacoreを用いた分析、さらに前年度も実施した質量分析を、条件を変えて再度検討するため、平成24年度未使用額直接経費および平成25年度の研究費を合わせて使用する。
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[Journal Article] Crystallization and preliminary X-ray analysis of peptidyl-tRNA hydrolase from Thermus thermophilus HB82013
Author(s)
Matsumoto, A., Shimizu, Y., Takemoto, C., Ueda, T., Uchiumi, T., and Ito, K.
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Journal Title
Acta Crystallogr Sect F Struct Biol Cryst Commun
Volume: 69
Pages: 332-335
DOI
Peer Reviewed
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