2013 Fiscal Year Annual Research Report
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24370075
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
田中 誠司 国立遺伝学研究所, 細胞遺伝研究系, 助教 (50263314)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | DNA複製 / 複製開始制御 |
Research Abstract |
複製開始反応は、真核細胞においては2段階の制御を受けている。複製時にDNA2本鎖を巻き戻す複製時ヘリカーゼの染色体DNA上の複製開始点へのローディング(pre-RC形成、細胞周期のG1期)と、複製時ヘリカーゼの活性化と複製フォークの確立(S期)。この過程に関わる因子は以下の4種類に大別できる。 (1). pre-RCに含まれ、複製フォークには含まれないもの;(2). pre-RC、複製フォークの両方に含まれるもの(Mcm2-7);(3). pre-RC、複製フォーク共に含まれないが複製フォーク形成には必要なもの(Sld2, Sld3, Dpb11);(4). pre-RCに含まれないが、複製フォークには含まれるもの(Cdc45, GINS, Polε他) これまでの解析結果はグループ(3)の因子(Sld2, Sld3, Dpb11)の会合により促進される開始複合体の形成過程そのものが、複製開始・抑制のスイッチとなっており、それらの会合がCDKによるリン酸化で直接制御されていることを示している。開始複合体にはこれらの他、グループ(4)の因子も含まれているが、それらの開始複合体形成における役割は不明である。25年度までに得た結果:グループ(4)因子GINSが開始複合体形成に果たす役割についてを論文として発表した(Tanaka S*, Komeda Y, Umemori T, Kubota Y, Takisawa H, Araki H. (2013). Efficient initiation of DNA replication in eukaryotes requires Dpb11/TopBP1―GINS interaction. Mol Cell Biol. 33(13):2614-2622. )。また、従来の突然変異作製法を改良したことにより、ほぼ全ての複製因子についてタイトな変異体が得られたので、それらを用いて、各因子が複製開始反応において果たす役割の解明を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ計画通り、順調に成果が出ており、代表的な成果は国際的に認められている学術誌である Molecular and Cellular Biology誌に発表。他生物のオーソログについては、これまでに同定されていない分裂酵母Sld7と思われる因子を同定できたが、解析の結果、顕著な表現型を示さないことがわかった(negative な結果であるが、それはそれで一歩前進)。この結果は他研究室より25年度に報告された哺乳動物細胞Sld7オーソログ候補因子の表現型とは顕著な違いを示す。また、また、従来の突然変異作製法を改良したことにより、ほぼ全ての複製因子についてタイトな変異体が得られた。この成果は、詳細な複製開始反応の解析を可能にするばかりでなく、進行中のその他のプロジェクトについても、大きな助けとなることが期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画通り、複製開始反応のより良い理解を目指し、以下の解析を進める。1). Sld2-Sld3-Dpb11を含む開始複合体がMcm2-7複合体の活性化に果たす役割の解析、2). 複製開始点活性化の高次制御の分子機構と、複製開始制御機構との関係。さらに、新たな複製開始因子の突然変異が取得できたため、3). それらを用いた複製開始反応の詳細な解析。
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Research Products
(12 results)