2012 Fiscal Year Annual Research Report
新規分子CAMPを中心とした染色体安定性システムの解明
Project/Area Number |
24370078
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田中 耕三 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (00304452)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 染色体分配 / キネトコア / 紡錘体 / 微小管 / 染色体不安定性 |
Research Abstract |
本研究は、ヒト細胞における染色体安定性システム(染色体の均等な分配を保証するシステム)について、研究代表者らが発見したCAMPおよびこれと関連する分子の作用機構を中心として明らかにすることを目的とする。平成24年度にはCAMPおよびその結合分子の染色体安定性に関する機能の解析を行うことを計画した。 細胞内でCAMPと結合する分子を免疫沈降法によって探索したところ、HP1(heterochromatin protein-1),POGZ(pogo transposable element with ZNF domain)が同定された。解析の結果HP1,POGZ共にCAMPのC末端にあるZnフィンガー領域に結合することがわかった。両者とも染色体分配に関係することが報告されており、現在これらの分子がどのようにしてCAMPと共同して機能しているのかを検討している。一方CAMPのキネトコア-微小管結合の安定性への関与を調べる目的で、CAMPをノックダウンした細胞での微小管の動態を解析した。その結果CAMPをノックダウンした細胞では微小管のターンオーバーが更新していることが判明し、CAMPが微小管の安定性に関与している可能性が示唆された。またCAMPの個体及び細胞レベルでの機能を明らかにするために、CAMPノックアウトマウスを作成中である。 CAMPを含めた染色体安定性に関与する分子を網羅的に解析するために、キネトコア-微小管結合が確立する過程である分裂前中期をより細かく分類することを試みた。その結果、キネトコア-微小管結合の状態の変化を反映した5つのステップに分類できることがわかり、この各ステップでのそれぞれの分子の局在や動態を調べることで機能を明らかにできるのではないかと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の計画であったCAMPの結合分子の同定に成功し、染色体分配に関係する分子がCAMPと結合することを見いだした。またCAMPが微小管の安定性に関係することもわかった。以上のことより、平成24年度の目標はほぼ達成できたといえる。その一方、それぞれの分子が協同してどのようにして染色体の均等な分配に関与するかについての詳細は不明であり、平成25年度以降の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
染色体の均等な分配には、CAMP以外にも数多くの分子が関係している。そこでCAMPの機能解析を続行しながら、キネトコア-微小管結合の成立に関係する各分子の機能について網羅的に解析を進める。この解析に必要な蛍光顕微鏡用の半導体光源を導入する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
効率的に実験を行った結果、予想よりも物品費を抑えることができた。今後キネトコア-微小管結合の成立に関する各分子の機能を解析するために、蛍光顕微鏡用の半導体光源が不可欠と考えられた。そこで当該助成金を翌年度の研究費と合わせることにより、これを導入することとした。
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