2013 Fiscal Year Annual Research Report
新規分子CAMPを中心とした染色体安定性システムの解明
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24370078
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田中 耕三 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (00304452)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 癌 / 細胞・組織 |
Research Abstract |
我々は細胞が染色体の均等な分配を保証する種々の機構を「染色体安定性システム」と名付けてその解明をすすめ、染色体分配に関与する新規分子CAMPを同定した(EMBO J, 2011)。本研究はこれを発展させ、染色体安定性システムの分子機構を明らかにすることを目的とする。平成25年度は以下のような研究を行った。 1.染色体安定性に関する分子群の機能の解析 染色体安定性に関与することが示唆されている分子のうち以下について解析した。 i) Nup188 核膜輸送を担っている核膜孔複合体構成因子の一部は、核膜崩壊後に染色体分配に関与している。そこで核膜孔複合体構成因子の1つであるNup188の分裂期での機能を検討した。その結果Nup188は細胞分裂期に紡錘体極に存在し、これをノックダウンすると高頻度に染色体の整列異常が見られた。解析の結果、Nup188は微小管を束ねる機能をもつNuMAを紡錘体極へ局在させることにより染色体分配に関与することが示唆された。 ii) CLIP-170 CLIP-170は微小管結合因子の1つであり、分裂期には動原体に局在して動原体と微小管との結合に関与することが知られている。今回新たにCLIP-170が分裂期キナーゼであるPlk1と結合し、その動原体への局在に関わることが明らかになった。CLIP-170はPlk1を動原体に局在させることにより、自分自身や周辺の分子のリン酸化を介して動原体と微小管の結合を制御している可能性が考えられた。 2.CAMPの個体および細胞レベルでの欠損による影響の解析 CAMPの機能を明らかにするためにノックアウトマウスの作製を試みたが、ヘテロノックアウトマウスのかけ合せからはホモノックアウトマウスが得られず、胎生致死であることが考えられた。そこで胎生致死の原因を探るとともに、コンディショナルノックアウトマウスを作製することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の計画であった染色体安定性に関する分子群の機能解析については、核膜孔複合体構成因子Nup188および微小管結合因子CLIP-170についてその染色体分配制御機構を明らかにした。この解析には、今回新たに導入した蛍光顕微鏡用の半導体光源が大きな威力を発揮した。またCAMPの機能解析のためにノックアウトマウスの作製を行い、ホモノックアウトマウスが胎生致死であることが判明した。以上のことより、平成25年度の目標はほぼ達成できたといえる。しかしCAMP欠損の個体での影響の解析には、コンディショナルノックアウトマウスの作製が必要であり、これは平成26年度の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は染色体安定性に関する分子群についての機能解析をさらに押し進める。具体的には微小管結合因子CLIP-170の機能解析を継続するとともに、染色体の迅速な整列に関与するKidやCENP-Eなどのモーター分子についても解析を行う。またCAMPコンディショナルノックアウトマウスを作製し、個体レベルでのCAMPの機能を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
効率的に実験を行った結果、予想よりも物品費を抑えることができた。またCAMPノックアウトマウスが胎生致死であったため、当該マウスの本格的な解析ができず、解析費用が生じなかったため。 染色体安定性に関する分子群についての機能解析をさらに押し進める。微小管結合因子CLIP-170の機能解析を進めるだけでなく、染色体の迅速な整列に関与するKidやCENP-Eなどのモーター分子についても解析を行う。またCAMPコンディショナルノックアウトマウスを作製し、個体レベルでのCAMPの機能について解析を行う。
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