2012 Fiscal Year Annual Research Report
構造―機能相関からみる発生メカニズム―神経軸索形成をモデルとして
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24370086
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
多羽田 哲也 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 教授 (10183865)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ショウジョウバエ / Sickie / アクチン / Cofilin / slingshot / Rac / キノコ体 / 軸索伸長 |
Research Abstract |
(1)ショウジョウバエ嗅覚記憶中枢キノコ体(3次神経)の神経軸索伸長に必須であるSickieは、アクチン結合性のCHドメインを持ち、F-actinに富む新生神経の軸索で顕著に発現している。細胞骨格再編成のスイッチであるRac、アクチン脱重合実行因子Cofilin、Cofilinの活性化因子Slingshotと、Sickieが遺伝学的に相互作用する結果を得たため、変異体においてF-actinの性状を解析した。 MARCM法によりコントロールと変異体の神経を同一個体内に誘導することで、組織染色のシグナルの定量的解析が可能となった。sickie、slingshot変異体、LIMK強制発現変異体のキノコ体神経軸索束では、F-actinの総シグナル強度が各々の比較対象の神経軸索束よりも有意に高いことが明らかになった。また、LIMK強制発現変異体の軸索伸長異常はSickiewT、Rac1^<Y40C>またはSlingshot^<WT>の強制発現により抑制されたが、sickie-RNA,iの誘導によりこれらの抑制効果は阻害され、異常なF-actinも同時に観察された。以上の結果より、SickieはRac/Slingshot/Cofilin経路を仲介することでF-actinの再編成を正に制御し、軸索伸長を担うことが明らかなった。 (2)キノコ体形成異常スクリーニングで得たDip2遺伝子の解析を行なった。Dip2変異では軸索走行に異常が観察される。データベース上では核内因子に分類されているが、抗体染色により膜近傍に局在していることが示唆されたので、局在を支配しているドメインの同定を試みた。また、マイクロアレイ法を用いて、Dip2変異において発現が変化する遺伝子を同定し、それらの遺伝子との相互作用を遺伝学的に解析する準備を行なった。さらに、Dip2と結合する因子の生化学的な探索も行ない、機能解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SickieおよびDip2の機能解析が進んでいる。Sickieに関しては、概ね解析が終わり、投稿原稿の作成中である。
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Strategy for Future Research Activity |
Dip2に関して、機能解析を進めどのようなシグナル伝達系の中で機能しているかを明らかにする。また、両遺伝子に関して、構造/機能相関を明らかにするために変異個体におけるキノコ体の生理学的な機能解析を行なう。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
補助金の範囲内で研究を遂行したため。25年度の研究費と合わせて、DIP2の軸索伸長における、機能解析、および両遺伝子の成体における生理的な機能解析に用いる。
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Research Products
(4 results)