2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24370088
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
日比 正彦 名古屋大学, 生物機能開発利用研究センター, 教授 (40273627)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 小脳 / 神経回路形成 / ゼブラフィッシュ / 蛍光タンパク質 / 可視化 / ライブイメージング / 変異体 / 神経発生 |
Research Abstract |
小脳は円滑な運動の制御のみならず、認識・感情・学習などの高度な神経活動にも関与している。本研究ではゼブラフィッシュとメダカを用いて、小脳神経回路形成過程およびそれを制御する分子メカニズムを解明することを目的として実験を行い下記の結果を得た。 1.ゼブラフィッシュを用いた神経回路ライブイメージングシステムの確立:三種類の蛍光タンパク質遺伝子を含むレポーター遺伝子を有するトランスジェニックフィッシュ(Tg)の作製を行った。加えて、個々の小脳神経回路ニューロン特異的に転写活性化因子Gal4FFを発現するTg、およびGal4FF依存性にDNA組換え酵素CreERT2発現Tgの作製を行った。 2.ゼブラフィッシュとメダカと用いた小脳神経回路形成の分子機構の解明: (1)IV型コラーゲンを介した穎粒細胞軸索形成機構の解明:基底膜を構成するIV型コラーゲンの遺伝子collagen4a6に変異体は、顆粒細胞の軸索走行異常を示す。基底膜成分Fibronectin1およびその受容体lntegrin5aの変異体においても同様に顆粒細胞軸索走行異常を示す。電顕解析から、これら変異体では中枢神経を囲む基底膜構造に異常が認められることを見いだした。また。IV型コラーゲンはSlitと相互作用することで軸索ガイダンスを制御しているとの報告があるが、顆粒細胞の軸索形成にはSlitが関与しないことを見いだした。 (2)Contactin1による小脳神経回路形成機構:失調様行動異常を示すメダカ変異体roの原因遺伝子としてcontactin1bを同定しているが、その神経回路形成における役割を解析するため、TALEN法を用いてゼブラフィッシュcontactin1a/1b変異体の作製を行った。 (3)遺伝子プロファイリング解析:1のTgを用いて、種々の小脳神経回路ニューロンからRNAの回収を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ゼブラフィッシュを用いた神経回路形成のライブイメージングに関しては、順調にトランスジェニックフィッシュの作製が行われたものの、小脳神経回路形成の分子機構の解明は予定より遅れている。IV型コラーゲンが穎粒細胞上のIntegrinを介してシグナルを伝達するという作業仮説とは異なるデータが得られたため、異なる実験手法を取る必要があった。また、メダカcontactin1b変異体の神経回路形成の組織学的解析に時間がかかった。
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Strategy for Future Research Activity |
神経回路形成のライブイメージングに関しては、Gal4-UASを取り入れるなど改良を含めるが予定通り進める。分子機構の解析に関しては、基底膜シグナルと協調的に働くガイダンス分子の候補を解析するとともに、遺伝子プロファイリングにより関与する分子を検索する。Contactin1に関しては、ゼブラフィッシュ変異体を用いた解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
作製したトランスジェニックフィッシュを交配しライブイメージングを行う。IV型コラーゲンを介した穎粒細胞軸索形成に関しては、形成過程の細胞レベルの詳細な観察を行うとともに、協調的に機能するガイダンス分子を同定する。Contactin1の機能を、ゼブラフィッシュ変異体を用いて解析し、神経回路形成における役割を解明する。
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Research Products
(10 results)