2013 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト上科で種特異的に生じている反復配列増減の比較ゲノム実験に基づく定量的な解析
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24370098
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
古賀 章彦 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (80192574)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ゲノム / 進化 / 遺伝学 / 人類学 / 霊長類 / 反復配列 / 高次構造 |
Research Abstract |
本研究課題は、ヒト上科の種で急速な増幅(生成を含む)や縮小(消失を含む)のあった反復配列を網羅的に同定し、そのうちから種の適応進化に深く関わっていると推測されるものを選び出すことを、目的としている。平成24年度(1年目)に、テナガザル科4属で、急速な増幅を遂げたものの候補として4つの反復配列を同定していた。平成25年度(2年目)は、その4つのうちでゲノムの構成の変化にとくに影響が大きいと考えられる1つについて、詳しい解析および進化的意義の検討を行った。 対象としたものは、高次構造をもつアルファサテライトDNAである。アルファサテライトDNAはセントロメアの主要構成成分となっている反復配列であり、ヒト科のみに高次構造があると広くみなされていたところ、テナガザル科のうちの Symphalangus 属に高次構造があることを昨年見出し、論文として発表していた。テナガザル科は4属に分けられており、他の3属(Hylobates 属、Hoolock 属、Nomascus 属)にも高次構造があるかどうかは、高次構造が生じた時期を見定めるために必要な情報となる。昨年開発していた独自の実験法を改良し、検出の効率を高めた後、3属に関する塩基配列の解析を行った。その結果、この3属で明瞭な高次構造がみつかった。4属すべてに高次構造が存在することは、その起源がヒト科とテナガザル科が分岐した後ではなく、少なくともヒト上科の共通祖先にまで遡るとの見解を、より協力に支持する。この結果を論文として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規の発見があり、信頼のおける学術誌から受理されて公表にまで至った。
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Strategy for Future Research Activity |
対象が反復配列、とくに縦列反復配列であるため、公共の塩基配列データベースは信頼性に乏しい。このため研究期間全体を通じて、自身で塩基配列を調べて解析をすることが必須である。1年目に独自の手法を開発し、2年目にはそれを改良して効率を高めた。さらなる改良の案を現在もっており、3年目にこの改良を実施する予定である。この改良を通して、より高効率かつより大規模な研究を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品費は厳密な予測は本来困難であり、消耗品費の増減に起因する小額の余剰が生じた。 研究の効率を高めてより大きな成果を目指すための費用として、次年度に使用する。
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Research Products
(5 results)