2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24380003
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 幸博 東北大学, 大学院・農学研究科, 准教授 (70280576)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 ふみ子 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教 (50321980)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | シュート / 脂肪酸 / 表皮 / オーキシン / イネ |
Research Abstract |
イネの発生における脂肪酸合成酵素遺伝子の機能を明らかにすることを目的とし、これまでに同定した3つの突然変異体と新たに同定した7系統の突然変異体の解析を行う。まず、新たな突然変異体の原因遺伝子を同定し、脂肪酸合成に関連するものを選抜する。次に得られた突然変異体の表現型を観察する。特に表皮、オーキシン関連遺伝子の発現、脂肪酸組成に注目する。過剰発現体および二重変異体も作成し、同様な解析を行う。脂肪酸組成解析により共通して変化の見られた分子が生理活性に関わる重要な分子と考えられる。また、表皮に異常が見られた突然変異体と表皮の遺伝的除去実験より、表皮のシュート発生における重要性を明らかにし、そのようなイネでのオーキシン関連遺伝子の発現パターンおよびオーキシン極性輸送タンパク質の局在の変化から、表皮に依存したシュート発生におけるオーキシンの役割を明らかにする。 今年度は2つの突然変異体oni2およびoni3の表皮と脂肪酸組成の解析を行った。表皮のマーカー遺伝子の発現を調べたところ、いずれの突然変異体でもその発現が低下しており、表皮が正常に分化していないと考えられた。また表皮ワックスの突起も見られなかった。脂肪酸組成を調べたところ、oni2、oni3とも炭素数20以上の極長鎖脂肪酸が減少していることが分かった。これらの変異体ではオーキシン関連遺伝子の発現に異常が見られ、オーキシンが正常に分布していないと考えられた。以上のことから、ONI2、ONI3は極長鎖脂肪酸の合成に必要であること、極長鎖脂肪酸あるいはその代謝産物が表皮の正常な分化に必要であると考えられた。 さらに新たに同定した突然変異体のうち1系統のマッピングを進めたところ、ONI2遺伝子を含む領域にマップされた。この変異体では、他のoni2変異体と同様、茎頂分裂組織特異的遺伝子OSHIの葉での異所発現、表皮ワックスの突起の消失も見られた。以上のことからこの系統はoni2変異体の1つであると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、oni2、oni3の脂肪酸組成分析、表皮の解析が進んだ。また、oni1、oni2、oni3の二重突然変異体の作成は予定より遅れているものの、一方で新たな突然変異体のうち1系統のマッピングが計画以上に進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り進める。その中でも特に、新たな変異体のマッピングおよび表皮の遺伝的除去実験を進める予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
新たな突然変異体のマッピングを進めた結果、そのうち1系統が平行して解析を進めていたoni2変異体であることが分かったため、その詳細な解析が不要となり、当該助成金が生じた。この1系統は今後の解析が不要となったため、研究成果の公表とその他の系統のマッピングと解析の促進に使用する。
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