2013 Fiscal Year Annual Research Report
葉原基分化を時間的に調節する分子遺伝学的機構に関する研究
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24380005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 純一 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (30345186)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 植物 / 遺伝学 / 発生・分化 / イネ / 葉間期 |
Research Abstract |
これまでの解析からpla変異体では植物ホルモンであるジベレリンに対しての反応性が低下しており、更にジベレリン処理においてPLA遺伝子の発現が上昇することを見いだしていた。しかし遺伝学的な検証はできていなかったため、ジベレリン関連変異体との二重突然変異体を作成し解析を行ったところ、PLA遺伝子の作用は遺伝学的にもジベレリン経路の下流に位置することを明らかにした。 pla変異体と逆の表現型を示すpre変異体 (o-707)はストレス応答に重要な植物ホルモンであるジャスモン酸の生合成経路の変異体であることを明らかにし、ジャスモン酸が葉間期や葉の成長に関与していることを示した。PLA遺伝子による葉間期制御とジャスモン酸による葉間期の制御過程を明らかにする為に、pla変異体とpre変異体との二重変異体を作成した。 これまで葉間期制御に関わる遺伝子はPLA1,PLA2,PLA3以外にSPL遺伝子が知られている。本年度はpla変異体背景でのSPL遺伝子の発現変動の調査、それぞれの二重変異体の表現型解析を行った。その結果、pla1,2変異体背景では特定のSPL遺伝子の発現が減少しており、pla1,2での葉間期の短縮はSPL遺伝子の抑制によるものであることが示唆された。またpla1,2変異体においてSPL遺伝子を過剰発現させると部分的にpla変異体の葉間期の表現型を相補した。このことから、SPL遺伝子はPLA1,2遺伝子の下流で葉間期の制御を担っていることが明らかとなった。一方、SPL遺伝子はmicroRNA156(miR156)によってその発現が制御されているが、pla2変異体背景のみでmiR156の蓄積量は増加していた。このことから、PLA1とPLA2のSPL遺伝子発現への関与様式は異なることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに研究を進行させ、それぞれの項目に対してデータの取得と研究材料の構築を行なった。データの解釈や挑戦的な解析に関しては課題もあるが、想定内の範囲である。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の解析結果に基づき、予定通りに研究を進行させる予定である。近年ゲノム編集技術の進展によって、イネにおいても任意の遺伝子におけるknock-outが可能となってきた。本研究ではpla変異体において大きな発現変化を伴う遺伝子がマイクロアレイ解析によって多数同定されている。そこで、それらの遺伝子が葉間期の制御に機能を持っているのか、PLA経路の下流で機能しているのかを、複数の遺伝子におけるknock-out個体を作出することによって明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度はPLA2のターゲットRNAを同定する計画を立てており、その費用にかかる支出を計画していたが、ターゲットRNAの同定は現時点では非常に挑戦的であり、費用対効果を考えると、他の解析を集中して行う方が、本研究計画の推進にとって重要であると判断した。 次年度は遺伝学的解析、発現解析を集中して行う予定であることから、それらの解析に必要な試薬等の購入に使用する。
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[Journal Article] Organ fusion and defective shoot development in oni3 mutants of rice.2013
Author(s)
Akiba T, Hibara KI, Kimura F, Tsuda T, Shibata K, Ishibashi M, Moriya C, Nakagawa K, Kurata N, Itoh JI, Ito Y.
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Journal Title
Plant & Cell Physiol.
Volume: 55
Pages: 42-51
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] RiceFREND: a platform for retrieving coexpressed gene networks in rice.2013
Author(s)
Sato Y, Namiki N, Takehisa H, Kamatsuki K, Minami H, Ikawa H, Ohyanagi H, Sugimoto K, Itoh J, Antonio BA, Nagamura Y.
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Journal Title
Nucleic Acids Res.
Volume: 41
Pages: 1214-122
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] ABNORMAL SHOOT IN YOUTH, a homolog of molybdate transporter gene, regulates early shoot development in rice.2013
Author(s)
Hibara, K-I., Hosoki, W., Hakoyama, T., Ohmori, Y., Fujiwara, T., Itoh,J-I. and Nagato, Y.
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Journal Title
Amer. J. Plant Sci.
Volume: 4
Pages: 1-9
Peer Reviewed
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