2013 Fiscal Year Annual Research Report
浸透圧ストレス条件下での根系可塑性発現過程についての多面的・網羅的解析
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24380011
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
小川 敦史 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (30315600)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
犬飼 義明 名古屋大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (20377790)
永澤 信洋 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (90599268)
野下 浩二 秋田県立大学, 生物資源科学部, 助教 (40423008)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 浸透圧ストレス / 塩ストレス / イネコアコレクション / 突然変異体 / オーキシン / 根 / 側根 / メリステム |
Research Abstract |
前年度に農業生物資源研究所の世界のイネコアコレクション63品種から選抜した浸透圧ストレス耐性ならびに感受性品種を用い浸透圧ストレス条件下での代謝物質の変化の違いを明らかにした。選抜した両品種を浸透圧ストレス条件下で栽培しメタボローム解析により診察ストレス条件下での代謝物質について網羅的に調査した。ストレス耐性品種と感受性品種を比較すると、浸透圧ストレス条件下でストレス耐性品種で特異的に発現してくる物質、アミノ酸代謝系での差異、糖代謝系でのクエン酸合成酵素の発現の違いなどを明らかにした。さらに水分生理の差異についても明らかにした。 選抜した塩ストレス耐性品種と感受性品種を塩ストレス条件下で栽培した。この結果、収量形成には止葉と稈のナトリウムの抑制と稈のカリウム,カルシウム蓄積が塩ストレス条件下における収量形質の低減の抑制に影響を与えていることを明らかにした。 2012年度に選抜したWRCイネの中で特に弱いもしくは強い品種を8品種選びそれらの品種の間で交配を行った。その結果19組み合わせの交配で種子が得られ、現在F1個体を育成中である。2014年度年は残りの17組み合わせの間で交配を試み、現在F1個体を育成中の組み合わせに関しては、F2種子を得る予定である。 野生型に比べ、根端付近での側根形成が阻害されるイネ突然変異体を用い、その原因遺伝子を解明するとともに、根端でのオーキシン分布特の特徴解析を通して、側根形成部位は根端部でのオーキシン濃度の制御を通して決定されることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度、網羅的な材料(イネコアコレクション)から選抜した浸透圧ならびに塩ストレス耐性ならびに感受性品種を用いて、計画通り今年度は診察ストレス条件下での代謝物質の変化の違いに関する網羅的解析、塩ストレス条件下での収量構成要素に関わる要因に関する解析を行った。また選抜したストレス耐性品種と感受性品種間の交雑を行い次年度以降に交雑品種を獲得する準備を進めている。また、側根の発生に関わるオーキシンの制御に関する分子生物学的要因に関しても明らかにしつつある。このように、本研究の目的であったイネ浸透圧ストレス耐性品種が持つ作物水分生理学的,代謝生理学的,分子生物学的特性を網羅的に解明し,ストレス条件下での根系可塑性発現過程を明らにするために3年間の研究期間での3分の2の研究課題を順調に終了している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画通り,スクリーニングした品種を用い,今年度は分子生物学的側面から浸透圧ストレス性品種と感受性品種の差異をマイクロアレイを用いて網羅的に解析した上で,特徴ある遺伝子発現についてさらに詳細な解析を行う。また、塩ストレス条件下におけるナトリウム排出ならびに輸送遺伝子に注目し、塩ストレス耐性品種と感受性品種の発現の差異を明らかにする。またストレス耐性品種と感受性品種の交配によって得られる交雑個体の特徴について明らかにする。これが通して3年間の研究課題の目的であった本研究の目的であったイネ浸透圧ストレス耐性品種が持つ作物水分生理学的,代謝生理学的,分子生物学的特性を網羅的に解明し,ストレス条件下での根系可塑性発現過程を明らにするという研究目標を達成する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定していた額より、消耗品(物品費)を購入する額が少なかった。25年度に予定していた解析に関わる委託費(その他)が割引され使用金額が減額された。研究分担者が物品費へ予定していた研究費を研究の都合上その他の経費で使用したため、結果としてその他の経費は予定金額より少し少ない金額になったが、物品費が大きく予定金額との差が生じた。 研究最終年度の26年度は、差が生じた予算を利用して、アルバイトを雇用して研究をさらに円滑に遂行するために使用する。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Application of T-DNA activation tagging to identify glutamate receptor-like genes that enhance drought tolerance in plants.2014
Author(s)
Lu G, Wang X, Liu J, Yu K, Gao Y, Liu H, Wang C, Wang W, Wang G, Liu M, Mao G, Li B, Qin J, Xia M, Zhou J, Liu J, Jiang S, Mo H, Cui J, Nagasawa N, Sivasankar S, Albertsen MC, Sakai H, Mazur BJ, Lassner MW, Broglie RM.
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Journal Title
Plant Cell Rep.
Volume: 33
Pages: 617-631
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Genotypic Variation in Nitrogen Uptake during Early Growth among Rice Cultivars under Different Soil Moisture Regimes.2013
Author(s)
Matsunami, M., Matsunami, T., Kon, K., Ogawa, A., Kodama, I. and Kokubun, M.
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Journal Title
Plant Production Science
Volume: 16
Pages: 238-246
DOI
Peer Reviewed
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