2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24380015
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
藤井 英二郎 千葉大学, 園芸学研究科, 教授 (40125951)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 良文 千葉大学, 環境健康フィールド科学教育研究センター, 教授 (40126256)
章 俊華 千葉大学, 園芸学研究科, 教授 (40375613)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 日本庭園 / 西洋庭園 / 認知特性 / 眼球運動 / 脳血流量 / SD法 |
Research Abstract |
日本庭園・西洋庭園の基本的構成要素である植物を視覚対象にして、本研究独自の方法である眼球運動と脳血流量の同時計測結果解析のための基礎的知見を積み重ねるため、平成25年度は、類似の形状で色彩の異なる鉢植え植物や、面的に広がったヘデラで葉色が異なる対象に対して、日本人男女のSD法による印象評価と、眼球運動・脳血流量の同時計測結果を比較した結果、印象評価と眼球運動の停留点数・停留時間、大脳の活性化部位・沈静化部位とに相関性があり、言語を介した印象評価と非言語反応である眼球運動・大脳反応との間に幾つかの新たな関連性を見いだした(Mohamed,et al.,2013aなど)。また、日本庭園と西洋庭園の植栽の大きな違いである透かし植栽とマッスの植栽の認知特性を解析するため、平成24年度に実施した枝葉を透かした盆栽と透かしていない盆栽に対する日本人男性の認知特性実験(Jo et al.,2012)と同様の方法で平成25年度に日本人女性の認知特性を調べた結果、男性同様、印象評価と大脳の活性化部位との間に関連性が見られた(Mohamed et al.,2013b)。これらの室内実験と並行して、平成25年度にはカナダ・バンクーバーのブリティッシュ・コロンビア大学構内の幾何学式庭園・イギリス風景式庭園・日本庭園を対象に欧米人と日本人の男女それぞれ約15名ずつ、計57名の印象評価と眼球運動・心拍変動性の同時計測を行い、幾つかの興味深い結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、言語を介した印象評価と、非言語反応である眼球運動と脳血流量の同時計測によって、西洋庭園と比較しながら日本庭園の認知特性を明らかにするものである。具体的には、日本庭園と西洋庭園の特徴的構成の違いである、1)軸線の有無、2)一点透視的遠近感か、見え隠れの奥深さか、3)マッスの植栽か、透かしの植栽か、の各々について実験室内で認知特性を解析すると共に、西洋庭園を代表する幾何学式庭園・イギリス風景式庭園と日本庭園を対象に庭園の全体構成に対する認知特性を日本、欧米諸国での現地実験によって解析する。 上記1)については、対植に対する日本人・韓国人・中国人・アメリカ人の印象評価・眼球運動を解析した筆者らの既往研究を踏まえ、平成24年度にカナダ人の認知特性を解析した結果、それらの国々に比べて対植が一般的でない日本人の対植に対する停留点分布特性の特異性が明らかとなった。3)については、樹冠を透かした樹木と透かしていない樹木に対するアメリカ人・中国人・カナダ人の眼球運動と印象評価を解析した筆者らの既往研究を踏まえ、平成24、25年度に日本人男女の印象評価、脳血流量計測を行い、印象評価と大脳の活性化・沈静化部位の間に幾つかの相関性を見いだした。 また、本研究独自の方法である印象評価と、眼球運動・脳血流量の同時計測結果の解析については、平成24,25年度に庭園の主要な構成要素である植物を対象に幾つかの基礎的実験を行い、印象評価・眼球運動・大脳活性化部位の間に幾つかの相関性を見いだした。 日本庭園と西洋庭園の全体構成に対する認知特性の解析については、平成25年度にカナダのブリティッシュ・コロンビア大学で幾何学式庭園・イギリス風景式庭園・日本庭園を対象に欧米人と日本人の被験者57名の印象評価・眼球運動・心拍変動性を計測し、幾つかの興味深い結果を得ながら解析を進めているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に、類似の形状で色彩の異なる鉢植え植物や、面的に広がったヘデラで葉色が異なる対象に対して、日本人男女のSD法による印象評価と、眼球運動・脳血流量の同時計測結果を比較した結果、印象評価と眼球運動の停留点数・停留時間、大脳の活性化部位・沈静化部位との間に幾つかの新たな関連性を見いだした(Mohamed,et al.,2013aなど)。また、日本庭園と西洋庭園に特徴的な透かし植栽とマッスの植栽の認知特性を解析するため、平成24年度に実施した枝葉を透かした盆栽と透かしていない盆栽に対する日本人男性の認知特性実験(Jo et al., 2012)と同様の方法で平成25年度に日本人女性の認知特性を調べた結果、男性同様、印象評価と大脳の活性化部位の間に関連性が見られた(Mohamed et al.,2013b)。印象評価・眼球運動・脳血流量の関連性に関わるこれらの知見を踏まえ、平成26年度は西洋庭園で一般的なマッスの植栽と、日本庭園で一般的な透かし植栽を低木・中木によって実験室内に設定し、日本人と欧米人の印象評価、眼球運動・脳血流量の同時計測によって認知特性を比較する。 平成25年度にカナダのブリティッシュ・コロンビア大学構内の幾何学式庭園・イギリス風景式庭園・日本庭園を対象に欧米人と日本人の印象評価と眼球運動・心拍変動性の同時計測を行い、幾つかの興味深い結果が得られた。平成26年度はこの解析を進めるとともに、上記の屋外実験では計測できない多くの部位の脳血流量計測を、上記3庭園の写真を使って眼球運動との同時計測を行う。 さらに平成26年度は『作庭記』にみられる日本人の自然に対する感情移入や自然的庭園構成の背景を探るため、日本と西洋の庭園で大きく異なる自然石の据え方に対する日本人・欧米人の認知特性の関係を探る実験を試みる。
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[Journal Article] The visual effects of plant variegation on human psycho-physiological responses2013
Author(s)
Mohamed E., Sun,M., Fujii,E., Koriesh,E., Moghazy,E., Fatah,Y.
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Journal Title
International Journal of Current Research
Volume: 5(9)
Pages: 2438-2442
Peer Reviewed
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[Journal Article] Human emotional and psycho-physiological responses to plant color stimuli2013
Author(s)
Mohamed E., Sato,S., Fujii,E., Koriesh,E., Moghazy,E., Fatah,Y.
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Journal Title
Journal of Food, Agriculture and Environment
Volume: 11(3,4)
Pages: 1584-1591
Peer Reviewed
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