2014 Fiscal Year Annual Research Report
果樹バイローム解析に基づく病原未確認重要病害の病原ウイルス解析システムの確立
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24380027
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
吉川 信幸 岩手大学, 農学部, 教授 (40191556)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 伝 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, その他部局等, その他 (20355415)
八重樫 元 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, その他部局等, 研究員 (90582594)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 次世代シークエンス / バイローム解析 / リンゴ輪状さび果病 / リンゴモザイク病 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)リンゴ輪状さび果病およびリンゴ奇形果病の罹病リンゴ試料から抽出したRNAを鋳型にして、ACLSVとASPVの完全長cDNAをRT-PCRで増幅後,T3ポリメラーゼで転写した転写RNAをリンゴ実生に直接接種した.その結果、輪状さび果病罹病リンゴ由来のACLSV-RNAは高率にリンゴ実生に感染した(感染率85.7%).一方、リンゴ奇形果病罹病樹由来のASPV-RNAのリンゴ実生への感染率は12.5%であった.以上から,感染リンゴ樹からウイルスを草本植物に単離する過程を経ることなく,RT-PCRにより全長cDNAを増幅後in vitro転写系で合成したウイルスRNAを直接リンゴ実生に戻し接種できることが明らかになった. (2)リンゴモザイク病の病原としてはリンゴモザイクウイルス(ApMV)が知られているが,ApMV抗体を用いたELISAで陰性の樹(P129:葉に顕著なえそを伴う)が存在する.P129葉試料(dsRNA)を次世代シークエンス解析したところ,リンゴの潜在感染ウイルス以外に,イラルウイルス属に近縁な未知ウイルスが検出された.ゲノムの全構造を解析したところ、P129ウイルスはイラルウイルス属の新規ウイルスで、リンゴえそモザイクウイルス(Apple necrotic mosaic virus, ANMV)と仮称した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
26年度は、リンゴの病原未知のウイルス性病害であるリンゴ輪状さび果病を対象に、バイローム解析で見出されたウイルスゲノムの全長cDNAの合成並びにの試験管内転写による感染性RNAの作製に成功した。さらにこれらがリンゴの実生に感染することを明らかにした。 またバイローム解析によりモザイク病罹病リンゴ樹からは新規のウイルス(リンゴえそモザイクウイルス)を発見し、リンゴモザイク病の病原の一つであることを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度は、26年度の結果を基に、リンゴ輪状さび果病から分離されたウイルスが輪状さび果病の病原であることを証明し、病原未知の果樹ウイルス性病害の病原同定システムの有効性を証明したい。
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Causes of Carryover |
適正に執行した結果、次年度使用額が生じたが、これは物品費購入が当初の予定より少なくなったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額については、消耗品費として使用する予定である。
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Research Products
(4 results)