2013 Fiscal Year Annual Research Report
カイコ休眠ホルモン作用時から休眠開始遺伝子pnd発現までを結ぶ分子機構の解明
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24380033
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
柳沼 利信 名古屋大学, 生命農学研究科, 名誉教授 (60135332)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新美 輝幸 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教 (00293712)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 昆虫分子生物学 / 蚕糸学 / カイコ胚休眠 / 休眠ホルモン / 休眠開始遺伝子 / 遺伝子発現調節 / シグナル伝達系 |
Research Abstract |
カイコの胚休眠は休眠ホルモンによって誘導される。休眠ホルモンは食道下神経節で合成され、血液を介して蛹中期の発育卵巣に作用し、卵母細胞にホルモン・シグナルを伝達する。実際の休眠は、中胚葉形成が完了し、両端が肥大した胚形態を示す発育段階で起こる。蛹中期の休眠ホルモン作用時から休眠開始遺伝子pnd(pigmented and non-diapausing egg)の発現までを結ぶ分子機構の解明を目的とする。申請者らのこれまでの知見を基に、この分子機構にインスリン・シグナル系が介在する可能性をまず解析する。 1.休眠性卵と非休眠性卵の胚発生に伴い、インスリン・シグナル伝達に関わるBmInR、BmAktおよびBmFoxOの各mRNAの発現解析を行った。(1-1)2化性の大造品種を用い、休眠卵産生蛹および非休眠卵産生蛹を得、完成卵から産下直後卵、さらに経時的に胚発生に伴う各mRNA量の発現解析をqRT-PCR法で行い、休眠性卵と非休眠性卵で比較した。 2. BmInR、BmAkt、BmFoxOに対応する二本鎖RNAを合成し、非休眠性卵に注射し、休眠化するかどうかを検討した。(2-1)いずれのRNA干渉でも、胚の形成自体が阻害され、休眠化の判定は出来なかっが、胚形成までの細胞分裂にインスリン・シグナル系が重要であることが判明した。 3. 阻害剤および活性化剤によるインスリン・シグナル系関与の評価(3-1)非休眠性卵への阻害剤の注射は、初期発生の細胞分裂に影響を与え、正常な胚形成が阻害され、休眠化の判定は出来なかった。(3-2)休眠性卵へのヒトおよび牛のインスリン注射を進めているが、非休眠化は未だ確認されていない。(3-3)インスリン・シグナル系の阻害剤はよく知られているが、特に自由に細胞内に浸透する活性化剤は少なく、これらを広く探索しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度4月の交付申請時点での実験計画をおおむね遂行しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)インスリン・シグナル伝達系に関わる活性化剤を積極的に使用し、休眠性卵を非休眠化させる工夫を進める。特に自由に細胞膜を通過する薬剤が求められる。 (2)BmILPの定量化を進める。 (3)転写因子FoxOを用いたゲルシフト解析を進めると同時に、FoxOタンパク質の動態解析を構築する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1)インスリン・シグナル伝達系に関わる活性化剤を積極的に使用し、休眠性卵を非休眠化させる工夫を進めるため、自由に細胞膜を通過する薬剤が求められる。これら新規試薬を購入予定であったが、市販の細胞膜透過性の活性化剤の合成が遅れているため。 (2)転写因子FoxOを用いたゲルシフト解析を進めると同時に、FoxOタンパク質の動態解析を構築する予定が次年度にずれ込んだため。 (1)インスリン・シグナル伝達系に関わる活性化剤を積極的に使用し、休眠性卵を非休眠化させる工夫を進める。特に自由に細胞膜を通過する薬剤が求められ、これらの試薬を購入する。 (2)転写因子FoxOを用いたゲルシフト解析を進めると同時に、FoxOタンパク質の動態解析を構築するために、試薬類を購入する。
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Research Products
(3 results)