2013 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫DNAウイルスに対するカイコの応答性防御機構の解析
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24380036
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
田中 博光 独立行政法人農業生物資源研究所, 昆虫機能研究開発ユニット, 主任研究員 (30391577)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坪田 拓也 独立行政法人農業生物資源研究所, 遺伝子組換えカイコ研究開発ユニット, 任期付研究員 (00612772)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | カイコ / カイコ多角体病ウイルス / テトラスパニン / Etsファミリータンパク質 / インテグリン |
Research Abstract |
カイコの転写因子であるBmEtsや膜表面タンパク質であるテトラスパニン等がカイコDNAウイルスである核多角体病ウイルス(BmNPV)の細胞内増殖抑制に関わる因子であることを示唆するデータが得られているが、昆虫のDNAウイルスに対する増殖抑制機構の詳細は未だ不明である。そこで本研究ではこれら応答性ウイルス増殖抑制機構の詳細を明らかにすることを目的とする。 昨年度までに、テトラスパニンをカイコ培養細胞で過剰発現させるとカイコ培養細内でのBmNPVの増殖が抑制されること、過剰発現させたテトラスパニンはBmNPVの細胞内増殖に必須なBmNPV前初期遺伝子プロモーターの活性化を抑制することで、細胞内のBmNPVの増殖を抑制していることを明らかにしている。本年度はまず、テトラスパニンがBmEts遺伝子の発現を誘導することでBmNPV前初期遺伝子のプロモーター活性を抑制するかを解析するため、テトラスパニンを過剰発現させたカイコ培養細胞でのBmEts遺伝子の発現量を調査した。その結果、テトラスパニンを高発現させてもBmEts遺伝子の転写量の変動は見られなかったことから、テトラスパニンはBmEts遺伝子の発現誘導を介さずに前初期遺伝子プロモーター活性を抑制することが明らかとなった。次に、カイコ培養細胞にインテグリンを過剰発現させても細胞内のBmNPVの増殖抑制がみられるかを調査したところ、テトラスパニン同様、BmNPVの増殖抑制が確認された。一方、テトラスパニンとインテグリンの相互作用をPull downアッセイで解析したが、両者の相互作用は認められなかった。 さらに、テトラスパニンによるBmNPVの細胞内増殖抑制が、幼虫個体でも示されるかを調査するため、テトラスパニンを脂肪体で高発現する遺伝子組換えカイコを作出した。今後このカイコにBmNPVを接種し、体内でのウイルス量が減少するかを解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ計画通りに進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通りに推進する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究用試薬やガラス・プラスチック器具等を効率的に使用した結果、研究費に余剰が生じた。 余剰が生じた研究費は次年度の研究費と合わせて、人件費や遺伝子発現解析実験に必要な試薬類、器具類の購入にあてる。
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