2015 Fiscal Year Annual Research Report
Regulatory machinery of sulfur assimilation and metabolism in Arabidopsis: Repression of glucosinolates biosynthesis and induction of SULTR2;1 expression under sulfur deficient conditions.
Project/Area Number |
24380040
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
丸山 明子 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (70342855)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 硫黄同化 / 硫黄代謝 / 変異株 / タンパク質間相互作用 / グルコシノレート / ドメイン解析 / 転写制御 / SLIM1 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物の硫黄同化・代謝は、作物の生産性と質、グルコシノレート(GSL)の蓄積量に大きく影響する。これまでに、硫黄欠乏(-S)に応じて硫黄同化系を正に、硫黄二次代謝系を負に制御する転写因子SLIM1を見出した。SLIM1の制御下にある機能未知遺伝子群から、GSL生合成の抑制因子RMGを見出した。本研究では、RMGによるGSL生合成の抑制機構および-SとSLIM1、RMGの情報伝達系上のつながりを、SLIM1、RMGの機能解析およびタンパク質間相互作用から解析した。 RMGは核に局在したが、転写因子様のドメインをもたず、転写活性化能も示さなかった。そこでGSL生合成を促進する転写因子MYB28との相互作用を解析し、複数の実験系でタンパク質間相互作用を検出した。さらに、RMGがMYB28のDNA結合能を維持したまま転写活性化能を阻害することを一過的転写活性化実験およびゲルシフト法により明らかにした。網羅的な遺伝子発現変化の解析から、RMGが-SおよびSLIM1依存的な応答の一部としてGSL生合成の抑制を担うことを明らかにした。これらの結果について論文を投稿した。 SLIM1が-S下でRMGの発現を上昇させる分子機構を解明するため、SLIM1のドメイン解析を行った。SLIM1の機能発現にはSLIM1の修飾やタンパク質間相互作用が必要であると考えられる。ドメイン解析を行い、SLIM1の活性化にC末端領域の一部が必要であることを見出した。また、SLIM1、RMGに共通の相互作用タンパク質候補を見出し、slim1とは異なる変異株slim2~5について原因遺伝子の同定を進めた。さらに、-Sに応じて発現の上昇する硫酸イオントランスポーターSULTR2;1について、-S応答性シス配列を同定した。この系を用いた重金属検出系を開発した。以上により、硫黄同化・代謝系の新規制御機構を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
所属機関への異動後一年で研究を開始したため、研究環境や教育業務の立ち上げに割く時間が多く、加えて育児などの事情のため、計画よりも研究の進行が遅れてしまった。 昨年度末に論文をScience誌に投稿したが、追加実験が必要となり、平成27年度は主に当該実験(硫黄一次代謝物の分析、ゲルシフト実験、一過的転写活性化実験、マイクロアレイの統計的解析)を優先して行った。これらの実験では明確な結果が得られ、すでに論文作製の最終段階を迎えているため、4月中には再投稿できる見通しである。 以上の理由で、他に計画していた実験には遅れが生じている。変異株slim2~5の原因遺伝子の同定に想定していたよりも時間と労力がかかったことも遅れの原因である。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは論文が受理されるべく努力する。今後は(1)SLIM1が-S下でRMGの発現を上昇させる分子機構、(2)RMGがMYB28の転写活性を抑制する分子機構、(3)RMGホモログの機能、の解析を主に進める。具体的な内容を項目毎に下に示す。 (1) SLIM1のドメイン解析からSLIM1の機能発現に必要な配列を同定する。この配列が-S下でのRMGの発現誘導に及ぼす影響を解析することで、SLIM1とRMGの情報伝達上の繋がりを明らかにする。並行して、RMGのプロモーター解析を行い、シス配列を明らかにする。RMGプロモーターおよびSLIM1を用いた一過的転写活性化実験やゲルシフト実験を行うことで、SLIM1とRMGの間に直接的な転写調節機構が存在するかどうかを明らかにする。 (2) Y2HによりRMGとMYB28の相互作用部位を特定する。相互作用部位を変異させたタンパク質を用いたゲルシフト実験、転写活性化実験を行うことで、相互作用部位がDNA結合能や転写活性化能に果たす役割を明らかにする。 (3)RMGホモログの高発現株やRMGを含む二重・三重欠損株の作製を進めている。得られた植物を用いてGSL量や関連遺伝子の発現を解析することで、RMG分子種の機能分担について明らかにする。
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Causes of Carryover |
現所属機関への異動後1年で研究を開始したため、研究環境や教育業務の立ち上げに割く時間が多く、加えて育児などの事情のため、計画よりも研究の進行が遅れてしまった。 昨年度末に論文を投稿したところ、追加実験が必要となった。実験を行った後の論文投稿を4月末に予定している。このため、論文の掲載料やさらなる追加実験にかかる消耗品代、学会発表のための経費が次年度にも必要となる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品(試薬代、プラスチック器具代、など)として150万円程度、成果発表旅費として20万円程度、論文掲載料として70万円、英文校閲費用として10万円程度、施設使用料として17万円程度を見込んでいる。
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Research Products
(18 results)