2015 Fiscal Year Annual Research Report
細菌細胞膜における高度不飽和脂肪酸含有リン脂質の機能解析と応用
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24380047
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
栗原 達夫 京都大学, 化学研究所, 教授 (70243087)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川本 純 京都大学, 化学研究所, 助教 (90511238)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 細胞膜 / 脂質 / タンパク質 / 高度不飽和脂肪酸 / エイコサペンタエン酸 / リン脂質 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 高度不飽和脂肪酸の一種であるエイコサペンタエン酸 (EPA) は血管性疾患の予防効果などヒトの健康に寄与する機能性脂肪酸として注目され、また、海洋性EPA生産細菌の正常な細胞分裂に要求されることを本研究代表者らは見いだしている。これまでの研究により、EPAの機能解析に有用なプローブ分子の効率的な合成法を確立してきた。ω末端にエチニル基を導入したEPAアナログ (cEPA) およびω末端側の3つの炭素原子に結合する水素原子をすべて重水素に置き換えた重水素標識型EPAを合成した。従来のcEPA合成法は全19段階の多段階反応であり(Wittig反応を5回行うことで5つの二重結合を導入)、収率は0.0010%と極めて低かった。新しく確立した合成法では、炭素-炭素三重結合を4つ有する化合物を銅触媒を用いたカップリング反応により合成した後、P-2ニッケルを用いて三重結合を一度の反応で立体選択的に部分還元したのち、Wittig反応で1つの二重結合とω末端三重結合を導入する。全12段階の反応により収率4.4%でcEPAが得られた。同様の方法で、重水素標識型EPAの合成も行った。 (2) EPA生産性細菌Shewanella livingstonensis Ac10のEPA欠損株は、低温での生育速度が低下し、異常に伸長した細胞を形成するが、EPAを培地に添加することで、これらの生育阻害が抑制される。cEPAを培地に添加したところ、天然型EPAを添加したときと同様、生育遅延と異常な細胞伸長が抑制された。また、cEPAがリン脂質のアシル鎖として存在することも明らかとなった。以上のことから、本菌においてcEPAは天然型EPAと同様に機能すると考えられた。cEPA添加菌体の抽出物にアジドビオチン加え、クリックケミストリーの手法でcEPAをビオチン修飾したのち、タンパク質をSDS-PAGEで分離し、HRP標識ストレプトアビジンで検出した結果、cEPA修飾タンパク質と示唆されるシグナルが観察された。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(10 results)