2013 Fiscal Year Annual Research Report
胎児期の栄養が生活習慣病を誘導する機構に関するエピジェノムおよび統合オミクス解析
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24380066
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 久典 東京大学, 学内共同利用施設等, 教授 (40211164)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | タンパク質栄養 / エピジェネティクス / 高血圧 / 胎児期 / メチル化 / マイクロアレイ / メチローム |
Research Abstract |
妊娠中低タンパク質食(9%カゼイン食)を給餌させたSHRSPラットの、胎生21齢(E21)、出生後15日(P15)、28日(P28)の子の腎臓サンプルを前年度に取得したが、DNAマイクロアレイ解析を行い、低タンパク質食暴露を行わなかった群と比較した。E21では低タンパク質食による遺伝子発現への影響は大きくなかったがステロイドホルモン合成に関わる遺伝子の発現上昇が見られた。P15では、ネフロン形成に関与する遺伝子(Egln3、Fos等)の発現変動が認められた。一方、胎児期低タンパク質暴露SHRSPが成長後に食塩を負荷し、腎臓でのDNAマイクロアレイ解析を行い、通常タンパク質食群と比較した。TGF-betaシグナリング経路のダウンレギュレーションや、活性酸素の消去に関与する遺伝子の発現増加が見られた。細胞外マトリクス関係(Fgf2、Timp1等)やアポトーシス関連(Apaf1、Endog)の遺伝子発現が増加しており、これらの因子が腎障害の進展に寄与していることが示唆された。また、ストレス等に関与するGadd45の発現変化が一貫して見られた。さらにこのサンプルを用いたゲノムワイドなメチル化解析として、抽出後の腎臓DNAに対してEZ DNA Methylation-Gold Kit (ZYMO Research社)を用いたバイサルファイト処理を行った。シーケンサー専用のオリゴヌクレオチドアダプター配列を付加してDNAライブラリーを作製したのち、次世代シーケンサー「Hiseq2000」(イルミナ社)を用いたメチローム解析に供した。Bismarkを用いて、バイサルファイトシーケンスのアラインメントおよびメチル化領域の検出を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
網羅的遺伝子発現のデータの解析を進めて、胎児期低タンパク質暴露の影響を遺伝子発現レベルで明らかにすることができた。特に腎障害の発症に関与する可能性が高い遺伝子を複数同定することができた。メチローム解析に関しては、技術的に困難な部分が多く難航したが、この技術を先端的に進めている各所の研究者と連絡を密にして、質の高いデータの取得までを行えた。
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Strategy for Future Research Activity |
メチロームに関して、ゲノムワイドシークエンスのデータ解析は、経験がなく手探りの部分もあるが、これに関しても多くの協力を得られる準備を整えてあるので、期間内に十分な情報を得られると考えている。また、胎児期低タンパク質食暴露によるGadd45の変化は、様々な条件において一貫して得られているので興味深い。そのため、この遺伝子に着目して、バイサルファイト法によってプロモーター領域のメチル化解析を行うことを新たに計画している。
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[Journal Article] Adverse effects of excessive leucine intake depend on dietary protein intake: A transcriptomic analysis to identify useful biomarkers.2013
Author(s)
Imamura, W., Yoshimura, R., Takai, M., Yamamura, J., Kanamoto, R. and Kato, H.
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Journal Title
J. Nutr. Sci. Vitaminol.
Volume: 59
Pages: 45-55
DOI
Peer Reviewed
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