2013 Fiscal Year Annual Research Report
網羅的遺伝子変異検出法を活用したマウスの食餌性糖尿病および肥満遺伝子の同定
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24380068
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
堀尾 文彦 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (20165591)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 糖尿病遺伝子 / 脂肪肝遺伝子 / 肥満遺伝子 / マウス / 高脂肪食 |
Research Abstract |
申請者は、現在までにマウスSM/JとA/J系統のゲノムに、糖尿病あるいは肥満・脂肪肝を支配する遺伝子の存在領域を10箇所マップした。本研究では、両系統間の網羅的な遺伝子変異検出の結果を利用して各マップ領域内の候補遺伝子を選抜した上で、それらの遺伝子の作用を検証して糖尿病および肥満遺伝子として同定する。平成25年度の実績は以下のとおりである。 (1) 両系統間の遺伝子変異の検出結果を利用した、糖尿病および肥満遺伝子の候補の選抜 第2番染色体の糖尿病遺伝子座(T2dm2sa遺伝子座)について、糖尿病遺伝子が存在する69.6Mb~75.4Mb領域の中で両系統間で遺伝子変異(欠失、挿入、アミノ酸置換を伴う変異)を検出し、候補遺伝子としてItga6,Zak,Gpr155,Mtx2の4遺伝子を選抜した。 (2) 両系統間で発現レベルの異なる遺伝子の検出結果を利用して選抜された脂肪肝遺伝子の候補であるIah1の機能の解析 第12番染色体に存在するIah1遺伝子を、マウス肝癌細胞であるHepa1細胞に過剰発現するcell lineを確立した。通常Hepa1細胞とこのIah1過剰発現Hepa1株の細胞内脂肪の蓄積を比較した結果、過剰発現株で蓄積が低下しており、このことよりIah1の脂肪蓄積抑制効果が明らかとなった。このことは、Iah1発現レベルの低いA/Jマウスで脂肪肝が発症することと一致しており、Iah1の脂肪肝遺伝子としての同定において有力な結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第12番染色体の脂肪肝遺伝子の候補であるIah1の脂肪代謝に対する役割の解明については、肝癌細胞を用いた系においてほぼ順調に進んでおり、Iah1の脂肪蓄積抑制作用の証明へと進める予定である。 第2番染色体の糖尿病遺伝子の候補遺伝子として選抜した4つの遺伝子は、インスリン感受性に寄与していると推測されるが、培養細胞を用いてインスリン感受性を検討する実験系の確立の検討を進めているが現在のところ達成できていない。具体的には、これらの遺伝子を細胞内で過剰発現させる方法とノックアウトする方法の確立を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)Iah1の脂肪肝遺伝子としての同定 マウス肝癌細胞(Hepa1細胞)を用いて、Iah1の脂肪蓄積抑制作用を脂質代謝遺伝子の発現に対する作用を明らかにすることで証明していく。 Iah1ノックアウトマウスを作成中であり、マウス確立の後に、このマウスでの脂肪肝発症の証明を目指す。 (2)糖尿病遺伝子の候補遺伝子の機能の検討 マウス脂肪細胞(3T3-L1細胞)を用いて、siRNA法にて候補遺伝子をノックアウトした場合にインスリンによるグルコース取り込み能が低下するかについて検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
糖尿病遺伝子の機能を検討するための実験系の確立が計画よりも若干遅れたために、この確立に用いる消耗品の費用分が次年度の使用となった。 糖尿病遺伝子の候補遺伝子の機能の細胞系での検討のために速やかに使用する。
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