2013 Fiscal Year Annual Research Report
疲労の生成及びそれが行動する動機の減弱に関わる脳内機序の解明と食品によるその調節
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24380070
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
井上 和生 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (80213148)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
都築 巧 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (50283651)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 疲労 / 脳内自己刺激 / 脳報酬系 / ストレス |
Research Abstract |
現代の日本では、多くの人が疲労を自覚しており、特に肉体的疲労というよりも様々なストレスによって引き起こされる精神的疲労(中枢性疲労)をいかに抑制するかが重要な課題である。本研究では、疲労に関わる脳内部位として視床下部や報酬系、辺縁系を想定し、疲労負荷に対する応答を神経科学的に明らかにしてその関与や作用機序を明らかにすることを目的とした。また疲労に関わる脳内機構を神経科学/化学的により広範に明らかにし、食品による疲労の調節への可能性を検討する。 (1) ICSSを用いた疲労度の測定とその応用: コミュニケーションボックスなどによる負荷を用い、脳報酬系を電気刺激により活性化する脳内自己刺激系(ICSS)で測定した脳報酬閾値が中枢性疲労で上昇することを明らかにした。中枢性疲労発生に関与が示唆されているκ-オピオイドについて、そのアゴニストの脳報酬閾値への直接の影響を検討した。 (2) 疲労感生成、あるいは行動する動機の抑制に関する脳内機序の解明: トレッドミルによる疲労負荷を行い、脳報酬系を成す側坐核・中脳腹側被蓋野においてドーパミン細胞外液中濃度が上昇するが、セロトニン濃度は変化しないことを明らかにした。 (3) 疲労、あるいはエネルギー代謝調節における信号としての乳酸の機能: 中枢性疲労発生に関与するTGF-βの潜在型から活性型への変換に血中乳酸が信号として機能するかを明らかにするために、第三および第四脳室、および大槽内に乳酸を投与し、血中乳酸濃度増大を検出する脳内部位を明らかにした。 (4) 抗疲労・疲労回復機能を持つ食品のスクリーニング: 強制遊泳によるマウスの疲労に対し食品の疲労回復効果を検討するスクリーニング系でウコンとチキンエッセンス摂取がこの測定系で効果を持つかどうかを検討検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題(1)についてκ-オピオイドが疲労様行動を引き起こし、ICSSでの脳報酬閾値の上昇を示すことを明らかとした。課題(2)(3)については計画通り進行している。課題(4)は実際の食品投与を行っているが当初予想したような効果が得られておらず、実験系の確認を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度計画はほぼ順調に遂行できたが、課題(4)の結果に疑問があり、さらに検討を行う。ポジティブコントロールとなる餌に、トレッドミルによる走行能力で実績がある卵白タンパク質やホエイタンパク質を用いることも予備的に行う。 またICSS応答に問題があったが、メーカー側でも原因が解明できていない不具合が装置にあり、これを同等品と交換することで正常な応答が安定して得られるようになってきた。今後さらに検体数を確保する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費のうち消耗品、特に実験動物についてその使用頭数を必要最少限とするよう努力した結果、計画より若干の節約につながった。 消耗品として不可欠な実験動物の購入、およびICSS電極とカニューレの購入に充てる。
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Research Products
(3 results)