2013 Fiscal Year Annual Research Report
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24380072
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
福田 真嗣 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科, 特任准教授 (80435677)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷 耕二 東京大学, 医科学研究所, 教授 (20359714)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 腸内細菌 / 制御性T細胞 / 酪酸 / 統合オミクス / メタボローム / 腸内エコシステム / エピゲノム |
Research Abstract |
ヒトの腸管内には多種多様な腸内共生細菌群が棲息しており、腸管上皮細胞群や粘膜免疫細胞群と複雑に相互作用することで、腸内環境生態系、すなわち「腸内エコシステム」を形成している。近年、Clostridium目細菌群などの腸内共生細菌群が、アレルギーや自己免疫疾患、炎症性腸疾患の抑制に重要な役割を担う制御性T細胞(Treg細胞)の分化・誘導を促すことが報告されたが、それらの腸内共生細菌群が有する免疫修飾因子の詳細については不明のままであった。本研究では、われわれが独自に構築した統合オミクス解析手法を駆使して、粘膜免疫系の恒常性維持やその破綻に深く関与すると考えられるTreg細胞の分化・誘導を促す腸内共生細菌由来の「免疫修飾因子」について解析し、その作用メカニズムを明らかにすることで、腸内エコシステムの調節に伴う粘膜免疫システムの新たな制御基盤創出を目指す。本年度は、高繊維食または低繊維食摂食マウスの大腸におけるTreg細胞の解析および盲腸内容物中のメタボローム解析から、腸内共生細菌が食物繊維代謝により産生する酪酸が、大腸粘膜におけるTreg細胞の分化を促すことを明らかにした。さらに酪酸により誘導されるTreg細胞の機能を評価するため、Rag2 KOマウスへのCD45RBhigh CD4陽性T細胞移入大腸炎モデルマウスを用いて酪酸化デンプン摂食試験を行ったところ、腸管内での酪酸濃度の増加に伴って大腸粘膜におけるTreg細胞数が増加し、大腸炎症状を軽減できることが明らかとなった。これらのことから、腸内共生細菌が食物繊維代謝により腸管内で産生する短鎖脂肪酸の一つである酪酸が、大腸粘膜におけるTreg細胞の分化誘導を介した粘膜免疫系の恒常性維持に寄与する免疫修飾因子であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は研究計画書のスケジュール通りに、マウス大腸粘膜におけるTreg細胞の分化を誘導する腸内細菌因子についてメタボローム解析を行った。また、次年度以降に予定していた大腸炎マウスモデルへの腸内細菌由来代謝産物の摂取による病態改善効果についても検討を行い、一定の成果を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の方針は、当初の研究計画通りに統合オミクス解析技術を駆使して同定した腸内細菌由来代謝物を用いて、通常マウスおよび種々の疾患モデルマウスへの摂取試験を実施し、病態改善効果の評価を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究計画当初は技術員の雇用を予定していたが、実験の進捗に合わせて次年度以降に繰り越した。 次年度は研究計画書通りに、疾患モデルマウスを用いた腸内細菌由来代謝産物の摂取によるTreg細胞誘導を介した病態の改善効果の評価を行う。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] Treg induction by a rationally selected mixture of Clostridia strains from the human microbiota2013
Author(s)
Atarashi, K., Tanoue, T., Oshima, K., Suda, W., Nagano, Y., Nishikawa, H., Fukuda, S. et al.
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Journal Title
Nature
Volume: 500
Pages: 232-236
DOI
Peer Reviewed
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