2012 Fiscal Year Annual Research Report
ビタミンCの不足が胎児の発生、成長、老化に及ぼす影響
Project/Area Number |
24380073
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
石神 昭人 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 研究副部長 (50270658)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | アスコルビン酸 / 老化 / 発生 / 加齢疾患 / ビタミンC |
Research Abstract |
本研究は、申請者らが独自に開発したビタミンC(VC)を体内で合成できないSMP30/GNL遺伝子欠損マウスを用いて、妊娠期間中、母胎のVC不足が胎児の発生や新生児、小児の成長に及ぼす影響、並びに慢性的なVC不足が慢性閉塞性肺疾患(COPD)、骨粗雑症、アルツハイマー病など、加齢に伴い増加する疾患の発症や老化そのものに及ぼす影響を包括的に探る。本研究により、VCの不足が発生、成長、老化など一生涯に渡り、生体にどのような影響を及ぼすか明らかにできる。 平成24年度、SMP30/GNL遺伝子欠損マウスを用いて、母胎のVC不足が胎児の発生や新生児、小児の成長に及ぼす影響を検討した。即ち、雌のSMP30/GNL遺伝子欠損マウスをマウスが1日に必要とするVC量(100%は7mg)の2.5%を含む飲み水で飼育し、VC不足状態にした。この量のVCを与えれば、VC欠乏症である壊血病の症状を示さない。VC不足30日後に雄マウスと交配し、膣栓の有無で妊娠を確認した。妊娠したマウスはさらにVC不足状態で飼育し、出産前の胎児や出生後の新生児を形態学的、病理学的、生化学的に解析した。その結果、ビタミンC欠乏状態で妊娠したSMP30/GNL遺伝子欠損マウスの胎児は、出生前に全て死亡した。また、ビタミンC不足状態で妊娠したSMP30/GNL遺伝子欠損マウスから生まれた新生児マウスは、出生後、数日以内にほとんど死亡した。全身切片を用いた組織学的解析により、ビタミンCが不足したマウスから生まれた新生児の肝臓と肺には顕著なうっ血がみられ、心臓には心拡張と心室筋の菲薄化がみられた。更に、肺では肺胞径が顕著に小さくなっていた。これらの結果より、妊娠期間中、十分にVCを摂取する必要があることがSMP30/GNL遺伝子欠損マウスを用いた研究から明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に記載した内容を順調に行うことができた。また、非常に興味深い結果も得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究はおおむね順調に進展している。現在、研究計画の変更や解決すべき課題等は特にない。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予算の執行も研究計画に沿って、順調に行っている。次年度も引き続き、研究計画に沿った予算の執行を行う。
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Research Products
(14 results)